結果は丸山知事が勝利したが、竹下氏との関係は良好とは言いがたい。島根県は竹下登元首相が長く政界に君臨し、その亡き後は弟の竹下亘氏が引き継いだ「竹下王国」。その竹下氏が9日、引退表明をし、重しが取れたので、丸山知事が思い切った発言をしたのではないか、という見方もある。

「聖火リレーでは竹下先生という大御所が声を上げてくれ中止は回避した。竹下氏が引退表明した直後、丸山知事は天皇陛下の開会宣言に言及した。引退する身の竹下先生はもう丸山知事に何も言わないでしょう。竹下氏が引退となれば、後継者は誰か。地元・島根の関心がそちらに注がれている時、丸山知事はそのタイミングを見計らってパフォーマンス的な発言をしたんじゃないか」(自民党の島根県議)

 次期衆院選をめぐり、地元ではさまざまな思惑がささやかれている。

「丸山知事は総務官僚時代にも島根県にいました。思ったことはズバズバいう人なので、今回の発言に驚きはない。次期衆院選では自分に近い候補を擁立したいなどの思惑があり、知事は注目を集めたかったのではないかと勘繰る声もある。丸山知事は竹下先生の牙城をひっくり返そうと、目立つ発言をしているのでしょうかね? これまで地元では丸山知事の政権に噛みつく発言を支持する声もあった。だが、今回は五輪に関係ない知事が、天皇陛下に言及するのは、僭越ではないか、との声が県民からも聞こえる。一度、知事選で勝ったくらいでは竹下王国は崩れません。引退する竹下先生も次の衆院選は意中の人がいると聞いている」(前出の県議)

 その竹下氏の後継候補として現在、想定されているのは、タレントのDAIGOだという。亘氏は大叔父にあたり、登元首相の次女が母親だ。DAIGOはよく祖父の登氏などの「政治ネタ」も披露している。

「亘氏は息子さんが2人いるが、どちらも政治家になるつもりはないそうだ。DAIGOが出馬してくれるのが、一番だ。まだ年齢も43歳と若いし、竹下王国を継承してくれるはず。ただ、タレントとして多忙なのがネック。奥様で女優の北川景子さんの方がいいという支援者もいる。2人は何度も、お墓参りなどで島根県を訪れているので、可能性はあると期待している」(竹下氏の支援者)

 島根県の次なる支配者は丸山知事か、それとも…。
(AERAdot.編集部 今西憲之)

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