新型コロナの影響で2年ぶりの開催となった今年のオールスター、大谷という大注目の存在がこれだけの活躍と話題を振りまいてくれたのだから、MLB機構もさぞ満足していることだろう。しかし、MLB機構はこの大谷フィーバーをさらに盛り上げようとしている。

 7月13日に掲載された大手『CNBC』の記事によれば、MLB機構は大谷を活用した新たなマーケティング計画を立てているそうだ。具体的な内容はまだ明らかにはされていないが、MLBのマーケテイング担当シニアバイスプレジテントであるバーバラ・マクヒュー氏の次のようなコメントを載せている。

「彼の勢いに乗って多くの計画を構築していきたい」

 ここ最近、MLB機構が大谷をマーケティングに利用し始めているのはすでに周知のことだろう。ホームランダービーへの招待や、オールスターゲームのルールを変えたこともマーケティング戦略の一つであるし、「It’s Sho-time!(イッツ・ショー・タイム)」という大谷を単独で取り上げたオールスターの宣伝動画を作ったり、ニューヨークにあるMLB本部オフィスの外壁に大谷の巨大パネルを設置するなど、とにかくMLB機構は大谷の露出に相当の力を入れている。

 その甲斐もあり、前回(2019年)620万人であったホームランダービーの視聴者は今回710万人と大幅にその数を増やし、商業的にも大成功を収めている。

 しかし、MLB機構が大谷をマーケティングに利用しているのは、単に商業的な理由からだけではない。もちろん野球人気復活への期待もあるが、なによりもその社会的責任を果たしていきたいという強い願いがそこには込められている。

 特に、MLB機構は人種差別というアメリカの社会問題に立ち向かう姿勢を前面に出している。そもそも、今回のオールスターゲームは当初ジョージア州アトランタで開催する予定であった。だが、3月にジョージア州で有色人種や黒人市民の投票権に不利な影響を与える可能性が高い新しい選挙法が成立してしまった事で、MLB機構はその抗議としてコロラド州デンバーに開催地を変更している。

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