河野太郎ワクチン担当相は全国の都道府県知事、東京23区の区長らと最近、相次いでオンライン会議をし、ワクチン供給が一部で停止していることに対して「ハシゴを外す形になって申しわけない」と謝罪。しかし、「このままでは今年中に接種が終わらない」などと首長から批判の声が相次いだ。ワクチン不足の中、まもなく開催される東京五輪でさらなる感染拡大が危惧される。
それでも菅首相は強気の姿勢を崩さず、自民党総裁選(9月末に任期切れ)についてテレビ番組(17日放送)で「総裁としての出馬は、時期が来れば当然のこと」と立候補する意向を表明した。
「菅首相は支持率の低下の本質をまったく理解しておらず、『ワクチン100万回も達成したのに、なぜだ』と疑問に思っているようです。政権浮揚のために、公明党が秋の解散総選挙のために提案した新Go Toなる事業の検討をもう始めています。ワクチンでコロナが収束すれば、大打撃を受けた観光、飲食産業を支援するというものですが、昨年の悪夢が蘇ります。懲りていないんです。官邸の空気は澱んでおり、働いている人間のモラルは下がっていますね」(政府関係者)
しかし、菅首相とは対照的に支持率30%割れは自民党内で動揺が広がっているという。
「菅首相のままでは解散総選挙は戦えない、という空気が広がるのも当然でしょう。維新との連携強化、あるいは小池新党などという話が公然と党内で言われるようになりました。党内は政権末期の空気が漂っています。菅首相は苛立ち、表向きは強気の姿勢を崩していませんが、実際には落胆の色は隠せません。カラ元気で視察に行ったり、歯医者へ通ったり、精力的に動き回っている。選挙も敗戦続きで、『歯医者通いで敗者になった』という笑えない冗談も一部で漏れています」(自民党関係者)
東京五輪の開会式は、名誉総裁である天皇陛下のみが出席し、開会宣言を行う方向で最終調整が行われている。もはや末期の菅政権のもと、東京五輪を無事、終えられることを祈るばかりだ。
(AERAdot.取材班)