「特に米国では、宇宙関連企業は防衛関連企業という色彩も濃いのが実情です」(河合氏)

 米国の2社とはスケールは大きく違うが、日本でも三菱重工業や川崎重工業は、防衛関連事業も守備範囲としている。とはいえ宇宙事業を手がけられるということは、技術力が高いという証左でもある。本格的に投資するなら、宇宙以外の事業領域も見て判断すべきだろう。

■月面産業に将来性あり

 一方、米国には太刀打ちできないものの、日本でも宇宙関連ベンチャーは産声を上げている。また、異分野から参入するケースも見受けられる。

 ブランソン氏やベゾス氏のニュースに比べれば注目度はかなり低かったが、国内でも「月面産業ビジョン協議会」なる組織が発足した。7月中旬には記者説明会も開かれた。

 協議会は月面開拓の実現と産業化を目的に30の企業・団体、国会議員、学識経験者で構成している。月面での資源開発には米国や中国も高い関心を示しており、日本も後れをとってはならないという思いがある。日本の産業界として構築すべき月面産業のビジョンについて政策提言を掲げ、内閣府特命担当大臣(宇宙政策)に提出。政府が提言に耳を貸せば、国策として月面開拓事業が動き出す可能性も考えられよう。

 国内でも宇宙関連のニュースが飛び交うようになれば、株式市場でも注目度が高まりそうだ。ただし、宇宙関連銘柄で利益を期待するなら、値動きが大きい小型の銘柄に的を絞り、しかも短期勝負が鉄則だ。

「材料が出て株価が急騰したとしても、長続きしないケースも多い点には注意したほうがいいでしょう」(河合氏)

 株価がロケットのように垂直上昇しても、一気に落下してしまうパターンが多いのだ。そうした博打(ばくち)に出るのではなく、銘柄を吟味して、応援したい会社に投資するのがよいかもしれない。(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2021年7月26日号より抜粋

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