ドイツ戦同様、後半途中に交代でピッチに入ると、左ウィングバックに入った三笘は「なかなかボールが来ず、自分を出し切れない展開で後悔もある」と話したうえで、こう続けた。

「前半0-0でも、後半勝負という話はあった。慎重になり過ぎた? 自分たちにアドバンテージがあったぶん、どこかでアグレッシブにいき切れないところがチームとしてあったと思う」

 大会前は挑戦者として臨むつもりが、ドイツ戦で望外の結果を得たことで立ち位置を見誤ってしまったなら、これほどもったいないことはない。

 サッカーにおいて「勝っているときにはチームをいじるな」という鉄則があるなか、森保監督が初戦から先発5人を入れ替えたターンオーバーについては批判的な意見も少なくない。コスタリカ戦だけを考えれば、そのままのメンバーで戦っていれば勝利した可能性が高かったのではないか、と考えられる。それでも、代えたというのはその先の目標を考えてのことだろう。

 ただ、結果的にその人選には疑問符がつく。たとえば連戦のなか、負担の大きい選手を休ませるなら日本がボールを保持できる展開が予想できたコスタリカ戦でMF遠藤航(29)をベンチに下げてもよかったのでは?(結果的に遠藤は同戦で右ひざを痛めた)。また、コスタリカ戦で勝利できれば、第3戦のスペイン戦で無理のないターンオーバーは可能になっただろう。

 ドイツ戦では終盤、左右のウィングバックに三笘と伊東を置いた攻撃的な布陣が結果的に吉と出たが、5-4-1の布陣のコスタリカ戦ではそれがハマらなかった。相手が1トップなら中央にDF2枚が構える4-2-3-1のほうが理にかなっているし、三笘と伊東も2列目の「3」の両サイドに置いたほうが、より高い位置から攻撃に参加でき良さが出たに違いない。

 ただ、主将の吉田も言ったように、

「何も失ったわけではないし、すべてを投げ出すには早すぎる」

 スペイン戦がどんな戦いになろうとも出し惜しみのない真っ向勝負で白黒がつけば、批判の声はまた称賛に変わるはずだ。

(ライター・栗原正夫)

※AERA2022年12月12日号より抜粋

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