後半開始直後、途中出場の浅野とのパス交換からMF守田英正(27)がエリア内に侵入し、左足でシュートを放った際には攻撃のギアが上がったかに思われた。だが、あとが続かず。終盤には伊東や三笘が絡み、チャンスになりかけた場面はあったが得点までには至らなかった。
試合後には、複数の海外メディアで、今大会ワーストのゲームと失笑された。それでも、最低でも勝ち点1さえ取れればよかったが、それさえも逃す最悪の結果となった。
自滅という表現がこれほどぴったりな試合はない。主将の吉田麻也(34)はこう振り返った。
「守りを固めてカウンターねらいで来た相手にワンチャンスをモノにされてしまった。大きい勝利のあとは気持ちが緩みがち。そこはわかっていたつもりだったが……。いちばん起きてはいけない展開になってしまった」
ドイツ戦の勝利から一転、コスタリカに敗れたことで、一気に森保ジャパンに対する見方は厳しくなった。ただ、それは敗戦という結果ではなく、その消極的な姿勢が生んだといえる。
初のW杯ベスト8以上という目標を掲げるなか、1次リーグで優勝経験のある強豪ドイツ、スペインと同居。突破のシナリオは、まずは第2戦でコスタリカに勝利することだったはずだ。それが運よく初戦のドイツ戦で勝ち点3を取れたことで、“マスト”ではなくなったことは理解できる。無理をして勝ち点3を狙って星を落とすくらいなら確実に勝ち点1を手にしたいと考えても不思議ではない。ただ、それにしても最もくみしやすいと思われたコスタリカにいかにも中途半端な戦いに終始した結果が、0-1の敗戦では自らチャンスを放棄したようなものだ。
後半頭から左SB(サイドバック)に入り、その後3バックに布陣を変更した際には左CB(センターバック)を務めた伊藤に、消極的に見えた戦いについて聞くと、リスクを冒す必要はなかったとした。
「無失点を続けながらどこかで先制点を取れたら、というのがプランだった。それが、逆に相手に先制点を取られてしまい苦しくなってしまった」