緊急事態宣言の下、始まった東京五輪。外国人選手だけではなく、メディアも自由に外出して取材ができないなど入国後に厳しい制限の中に置かれる。他方で海外メディア関係者の一部には、街に繰り出し、飲み歩く人たちも――。ルールをしっかりと守るメディアからは恨み節も聞かれた。
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「本当は東京の街の人の様子など、五輪に関連した話をたくさん報道したかったんだけどね」
ため息交じりにこう言うのは、インドから来た記者の男性だ。新型コロナウイルスの感染が拡大し緊急事態宣言が出ている中で、東京五輪の取材は大きな制限がかけられている。この記者は20日にインドから来日。3日間は隔離された状態でホテルに滞在しなければならない。
東京五輪・パラリンピックに参加するメディア関係者に配られた「プレイブック」(ルールブック)を見てみると、14日間は公共交通機関を使うことができず、取材先も競技場など事前に「活動計画書」で申告した場所しか行くことができない。食事もホテルのレストランか競技場のケータリングなどに限られ、GPSで行動が厳しく管理されるなどの制約が記されている。違反者には国外退去などの処分が科される可能性がある。
先のインド人記者はこう語る。
「GPSのついたアプリをインストールしなければならず、行動は管理されています。取材はまったくできないですね。本当に残念です」
こうした制約に対して、反発は強い。アメリカの主要メディアから大会組織委員会に「報道の自由に反している」と抗議が出されるほどだ。在日の記者を集め、制限を受けない取材を試みようとするメディアもある。
ただし、報道の自由とはかけ離れたところでルールを破る外国メディアが出てきている。渋谷の街に繰り出し、夜10時まで飲み歩くヨーロッパから来たメディア関係者の姿も報道されている。
こうした「ルール破り」について、外国人のメディア関係者は厳しく見ているようだ。