そして、政府のコロナ対策を「評価しない」が65%に達し、「評価する」の26%を大きく上回り、今回の4度目の緊急事態宣言が感染拡大の防止に「効果がある」と思う人は、「大いに」「ある程度」を合わせて33%にとどまった。「あまり」「全く」を合わせた「効果はない」は66%で、特に東京では74%が「効果はない」と答えた。

 国民の多く、特に東京都民の7割以上が、菅首相に強い不信感を持ち、さらに菅内閣が新型コロナの感染拡大を抑え込むことはできないと捉えているのである。

 20日の朝日新聞は、社会学者の上野千鶴子さん、元外交官の飯村豊さん、内田樹さん、澤地久枝さんら14人が呼びかけた、東京五輪の中止を求めるオンライン署名への賛同が約14万筆に達した、と報じている。

 私は、上野さんらの主張はよく理解できるし、共感もできる。だが、ここまで来ると問題は、菅内閣が東京五輪を開催して、新型コロナを抑え込めるかどうか、だ。もしも、東京都の新規感染者数が5千人を超えれば、菅内閣は崩壊せざるを得なくなる。その場合にどうなるのか。私は菅首相の後は、河野太郎氏が継ぐべきだと考えているのだが、菅内閣が崩壊すれば、河野氏の可能性はない。かといって、野党連立政権も考えられない。とすると、どうなるか。私はそれを最も心配しているのである。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年8月6日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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