自民党関係者はこう語る。

「五輪前だったら猛反発を食らう内容かもしれないが、五輪が盛り上がっているし、長引く緊急事態宣言にストレスを感じている人たちが多い。以前より竹中氏の主張に納得できると感じるのではないか」

 しかし、感染拡大を受け、東京都はモニタリング会議で試算した「1日あたりの新規感染者数(1週間平均)が8月11日に4532人に達する」との数字を公表。「爆発的な感染拡大に向かっている」(専門家)とも警告している。分科会の尾身会長も国会で、「今の最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないこと。危機感が共有されなければ、さらに感染拡大する。いずれ医療逼迫が深刻化する」と訴えている。政府関係者がこう話す。

「分科会など専門家の言う通り、これからも新規の感染者は増えるでしょう。ただ、尾身会長は自らワクチンのCMに出たり、国会で政権に苦言を呈するなど今や菅首相以上に目立つ存在になっている。竹中氏のバイアスは言い過ぎかもしれませんが、五輪を成功させたい政府としては、その存在を苦々しく思っている人もいる」

 竹中氏は読売テレビで放送された「そこまで言って委員会NP」(6月放送)に生出演した際、東京五輪・パラリンピックについて、「世界に対して『やる』と言った限りはやる責任がある」と力説。「なんでやるか、やらないか、あんな議論するか、私は分からない。だって、オリンピックは世界のイベントなんですよ。世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、日本の国内事情で世界に『イベント(五輪)やめます』というのはあってはいけないと思いますよ。世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任がある」と熱弁していた。

 感染者が爆発的に増える中、竹中氏のコロナ分科会への批判を世間はどう受け止めるだろうか。(牧忠則)

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