すると、ダラダラやっていたはずの仕事が愛おしく思えた人。逆に、「こんな仕事はとっとと辞めた方がいい」と、スッキリする人。客観的に判断ができる状況が生まれるのです。

 そもそも、モラトリアム期間をつくること自体が大変です。ダラダラとこなしながら、体に染みついているルーティンから離れようとすると、それに抵抗する思考と葛藤が必要になります。

 自分が休んだら困る人がいる。代わりに誰がやるのか?上司が嫌な顔する姿をみたくない。こんなふうに、モチベーションが高くないはずの仕事を休むことに抵抗感が出てくるのです。

 でも、ここは勇気をもって休んでしまいましょう。しかも、仕事関係のコンタクトと決別してみてください。できるだけ、休んだら会社のメールはみない。連絡もしないで1週間くらい時間の経過を待ってみましょう。すると、自分が客観的にダラダラやっていた仕事がみえてくるはずです。

 ちなみに自分もこの取り組みをしたことがあります。ダラダラとやっており「いつまでやるんだ」とモチベーション低くやっていた雑誌の編集業務。上司に相談して1週間の休暇をいただきました。しかも、夏休みとか一斉休暇でなく、他の同僚は勤務している時期に自分的には長期休暇を取りました。

 すると、休暇の3日目くらいからは仕事が愛おしく思えてきて、休暇終了後には高いモチベーションで取り組めるように変化していました。

 その休暇時期に気付いたのは、自分の仕事はやらされているだけではなかったこと。取材対象を選んだり、原稿を書いたり、自分の裁量で行っている仕事がたくさんあったことに気づきました。さらにいえば、「他にやりたいことは何か」を考えたときに、何も思いつかなかったのです。ほかにも、関わってきたライターの方々との出会いなど仕事を通じて得られていることがたくさんあったにもかかわらず、忙しさに忙殺されて、気付いていなかったのです。

 どうしても、長く同じ仕事をしていると閉塞感に陥ったり、他人の芝生が青くみえて、モチベーションを上げづらくなったりしがちです。そうしたときに転職したり、職場を変えたりするなど、環境を変えることが効果的な場合もあります。

 ただ、これまでやってきた仕事よりもモチベーションが高い仕事が待っているとは限りません。いったんは客観的にいまの仕事を見つめなおし、モチベーションが高まる可能性を探ってみてはどうでしょうか?

西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている

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