──まだ宝塚の舞台を観たことがないという男性に、どんなアドバイスを送りますか。
山里:食わず嫌いの人が多いと思うんです。僕もそうでした。でも、ぜひ一度観ていただきたい。初めて観劇する際のオススメは、ストーリーがわかる作品を選ぶことですね。僕がラッキーだったな、と思うのは初めて観た作品が星組の「ロミオとジュリエット」だったこと。ストーリーがわからない作品を最初に観ると、「難しいな」で終わってしまう可能性もあるので、初めて観る作品に何を選ぶのかは重要かもしれません。
■ハードボイルド系も
彩凪:確かに、観る作品は重要ですね。衣装もすごければ、照明もすごい。宝塚って本当に観るポイントが多いので。私も最初は、「女性が男役を演じている」という前知識だけで足を運んだので、「この人も実は女性なの?」とキョロキョロするだけで終わってしまった。だからこそ、多少内容を知っていたり、シンプルなお話だったりすると、比較的入りやすいと思います。
天真:たとえば「ベルサイユのばら」のような、コスチュームものはハードルが高いと感じるのなら、ハードボイルド系の作品から入ってみるのもいい。スーツにトレンチコートを羽織り、ソフト帽をスッとかぶり、背中で語る──。そんな美学を貫く作品もあるので、男性のお客さまなら、そうした姿勢を学ぶのもいいのかな、と思います。小物や髪の流し方、ため息のつき方……。とにかく宝塚は“カッコいい”の宝庫。一度舞台を観て、自分なりのカッコ良さをパートナーに披露するなど、いつの日か役立つ時がくるかもしれません(笑)。
彩凪:ショーと芝居がセットになった作品も、二度おいしく、純粋に楽しめると思います。先ほどまでお芝居をしていた人が、こんなふうに歌って踊るんだ、と、そのギャップも楽しいと思います。
(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2022年11月28日号