──“宝塚男子”の醍醐味はどんなところにありますか。

山里:僕はもう、気持ちとしては娘役の視点から見ているんです。娘役として見ると、今までの人生で感じたことのない感情の高ぶりがある。「女の子たちはこうやって恋に落ちているんだ」と、手に取るように分かります。「キュンとする」という感情って実はおじさんにはないんです。でも気づけば、まるで少女のように胸の前で手を組み舞台を見つめている。あれは、宝塚でしか味わえない感情です。それに、男役さんって我々観客を落としにかかってくることがありますよね。みんながみんな「今日は目が合った」というエピソードを持ち帰っているでしょうから。

■舞台からはよく見える

彩凪:実は、舞台からは思っている以上に見えているんですよ。「あ、今日は山里さんいたね」なんて、裏ではそんな会話をすることもありますから。

山里:えー。見えているんですか!

彩凪:めちゃくちゃ見えています(笑)。いまのお話を伺って、男性の方に宝塚の男役を「カッコいい」と思っていただけるのはすごくうれしいな、と思いました。「女が女に惚れる」感覚に近いですよね。宝塚には、独特の衣装も華やかさもある。山里さんのように、さまざまな舞台を観られている方が宝塚に興味を持って下さり、番組を通して宝塚を広めて下さっているのは、すごくうれしいことです。

天真:私も、初めて宝塚の舞台を観た時は、漫画『ガラスの仮面』の北島マヤのごとく、雷に打たれたかのように「ここに入りたい」と思ったことを覚えています。舞台を観終えても、客席から立つことができない、ということが本当にあって。究極的にカッコいいと感じると、山里さんのように自然に手と手を合わせてキュンとしたポーズになってしまう。「尊い」という感情が芽生えてくるんです。山里さんも同じ思いを抱いていらっしゃるのだと知ったいま、これからは公演を観たらすぐに電話をして「観ました? どう思いました?」と聞いてみたい気分です(笑)。

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