こうした厚労省の遅々とした動きを尻目に、東京都立と公社の病院は、いち早くコロナの専用病院に向けて動いている。
今年1月に明らかにされたもので、都立広尾病院(渋谷区)、公社豊島病院(板橋区)、公社荏原病院(大田区)のそれぞれを実質的にコロナ専用病院に変え、各240床の計720床を確保するとした。
関係者によると、一般の患者は、地域の民間病院や、医師を派遣している大学病院などの協力で転院するなどしたという。
コロナ対策に取り組む都民ファーストの会の伊藤悠都議は「多くの病院に少しずつ引き受けてもらうと、感染対策などの負担に対して効果が低くなる。コロナ専用にすれば他の患者に感染させる心配がなくなり、治療効率もあがる。民間がコロナ病床を引き受けることは、風評を含めて将来の病院経営に影響を与える可能性がある。都は責任を負いきれないので強くは求められない」と、専用病院の効果を語る。
3病院も、先述の厚労省の調査対象だったが、9項目のうち、広尾は、がんだけが特に少ないとされ、豊島は心疾患とへき地医療だけ、荏原も心疾患、小児、へき地の三つのチェックだった。JCHO18病院に比べ、地域医療への貢献は実績がある。