ある意味、「サタデーナイトショー」みたいなブラックなコントなんだけど、よくできている。コンプライアンスうんぬんって時代でも「この番組、攻めてるなぁ~」っていうやつなんですよ。「ねほりんぱほりん」(Eテレ)もそうで、日本の番組の中で今一番えぐってはいけないところに斬り込んでいますよね。女子刑務所から出て来た人とかパパ活している人がどーしたとかなかなかえぐりづらいところを人形をかませて、やっているから面白いですよね。
これらの番組はNHKだからできるのかもしれない。民放で、スポンサーさんを集めようとなると「そういうネタ、やめて」と言われる可能性もあるが、出来上がったものはすごくいいものになっていたりする。コンプライアンスがきつい中でも知恵を絞ればできる事はある。ネタだけで判断しないで、ディレクターが作ってきた作品で評価してもらえないのか? そして、その作品にお金を出してもらえないのか? 作品と評価されればディレクターもやりがいがあると思うし、それがテレビ番組の本来の作り方なのかもしれない。
NHKと民放の番組の作り方やあり方の違いなのかもしれないけれども、ここで思い出すのが永六輔さんから昔言われた言葉。「作り手も出演するタレントもレギュラー番組を持ったら週に1本しかできないはずだ」とおっしゃっていた。本当に魂を込めたいいものを作ろうとすると1本が限界で、レギュラーを何本抱えているとか言うのは、永さんは「テレビが変わった」と話していた。テレビを辞めてYouTubeに進出する人を見ていると、1本1本で頑張らないとお金が入ってこないという世界は、永さんが言っていた事につながるのだなと心に引っかかっている。
テレビとコンプラを考えるにあたり根本に立ち返ると、テレビ番組って愛がないとダメなんですよ、クサイ言葉ですけど。観ている人に対しても、出演している人に対しても愛がないとダメ。楽しかったね、ためになったね、ちょっと笑ったねとか受け手の感じ方は様々でも、いかに愛を持ってやるかが大切な事。ずっと、そうした愛を大切にしていけば、コンプラうんぬんなんてものは関係なかったかもしれない。僕は、この「愛」をどこで学んだかというと「探偵ナイトスクープ」なんですよ。ずっと教え込まれたのは、「そのVTRに愛はあるのか?」「救いはあるのか?」を問われた。そこが大事なのかと思う。
■カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。オンラインサロン「竹山報道局」は、4月1日から手作り配信局「TAKEFLIX」にリニューアル。ネットでCAMPFIRE を検索→CAMPFIREページ内でカンニング竹山を検索→カンニング竹山オンラインサロン限定番組竹山報道局から会員登録。