古田新太(撮影/横関一浩)
古田新太(撮影/横関一浩)

 古田さんにとって7年ぶりの主演映画になるが、「主役だと、興行収入のこととかも考えなければならないから面倒くさい」と言い捨てる。

「舞台もそうだけど、『お客さんが入んなかったら困る』という責任感が生まれます。若い頃は、『殺人鬼の役がやりたい』とか、役に対する欲もありましたが、今は、いいお父さん、いいおじいちゃんを演じていても楽しいです。映画は元々好きですが、順番をつけるなら舞台が一番。理由は、始まったら終わるから。連ドラが苦手なのは、途中でテコ入れされたり、打ち切りになったりして、インしたときに、結末がわからない。頭の中の順撮りができないのが気に食わないだけです」

 古田さんが感じる、俳優という職業の面白さは、無免許でいろんな職業ができることなのだとか。

「医者の役も弁護士の役もやってるけど、オイラは、医大も出てなけりゃ、司法試験も受けていない。プロレスラーにもロックスターでも、何にでもなれるのが役者。基本的には飽き性で、釣りが好きとかゴルフが好きとか、そういう趣味がない。趣味がある人は、のめり込むことができるかもしれないけど、オイラはそれが一切ないので」

 あるとすればお酒だろう。とくに舞台では、稽古や本番終わりに古田さんとの飲み会を楽しみにしている俳優は多い。

「芝居が終わって、その日一緒になった人とお酒を飲んで、くっだらない話をして(笑)。次の日、覚えなきゃいけないセリフを覚えて、現場に行ったら、江戸時代の人とか戦国時代の人とかになってる。それが楽しいんだと思います」

 ところがコロナ禍で、その外飲みができなくなってしまった。8月に舞台で地方を回ったときも感染防止のために、ホテルの部屋で一人飲みをするにとどまった。

「オフの日は、朝から飲んで、そこから舞台や映画を観に行ったりします。この間、オーチャードホールに、(黒木)華と(Hey!Say!JUMPの中島)裕翔が出てる『ウェンディ&ピーターパン』を観に行ったら、堤(真一)も出てて。『歌うのかな?』とワクワクしてたら、結局歌わなかった。後でボロカス言ってやろうと思ってたのに(笑)。でも楽しそうにやってたからよかった」

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