◆症状が改善しても治療の継続を

「最初は、まずは週4日装着して眠ることを目標にしてもらいます。できれば一晩中装着することが理想ですが、最初は途中で目が覚めたらそこでやめてもいい。寝て1時間で目が覚めたら、そこまででいいと伝えています」(坂尾医師)

 最初は不快に思う人も、装着して眠れることを実感すると変わるという。SASの人は、寝ていても、実際は徹夜しているのと同じぐらい疲労がたまっている。そのため、CPAPを装着し「よく眠れた、疲れがとれた」という感覚を得られると、気づいたときには4、5時間装着できるようになり、やがて一晩装着できるようになるという。

 すぐに効果を感じられない、装着に慣れない、装着が面倒などの理由で、治療をあきらめてしまう人もいる。そういう人は、SASによるからだへの負担を自覚していないことや、放置によるリスクを理解していないことも多いと坂尾医師はいう。

「そのため治療前に、SASを放置するとからだに大きな負担がかかること、交通事故などのリスクも増えること、高血圧や心疾患、脳卒中などを発症するリスクが高まることなどをしっかり説明します。患者さんに治療に臨む意識を持っていただくためには、リスクを理解してもらうことがとても大事なのです」(同)

 また、CPAP療法は継続することが重要であり、自己判断で中断することは避けたい。

「例えば、旅行や出張で1~2日装着せずに寝てもいびきをかかなかったので、治ったのではと考える患者さんもいますが、治ったのではなく、CPAPにより気道のむくみがとれ、一時的にいびきが治まっているだけです」(同)

 SASでは、狭くなった気道に勢いよく空気が出入りするため、粘膜が刺激され、むくんでしまう。CPAP療法をするとむくみがとれ、ある程度気道が開くため、数日治療をしなくてもいびきをかかないが、治療をしなければすぐ元の状態に戻ってしまうという。

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