裕子さんはどんなファーストレディになるのだろうか。最近の首相の外遊の様子をひもとくと、安倍晋三前首相は、妻・昭恵さんと手をつないで歩いた。菅義偉首相の場合は、妻・真理子さんが3歩後を歩いた。
「私は6、7年間、後援会の会長をしていますが、文雄さんと手をつないでいるところは一度も見たことがありません。裕子ちゃんは少し控えめですから、飛行機へ向かう時は横、もしくは半歩下がるかもしれませんね。裕子ちゃんはしゃしゃり出るタイプではないですが、如才なくおつきあいができる方。ちょっと天然で面白いところがあります」
一方、岸田氏はどんな人物なのか。伊藤会長によると「酒豪」だという。
「年に1回は後援会の役員と岸田さんとで一緒に酒を飲むんですが、岸田さんは飲み負けたことがないんじゃないですかね。ワインでも、ビールでも、日本酒でも何でもいける。そもそも酔わないから、酒を飲んでも変化がない。ハンパじゃないと思いますよ。後援会で30人くらいの人たちが3~4人のグループに分かれ、岸田さんは話をしながら回るんですが、岸田さんが酔ったという記憶が私にはありません」
岸田氏は自民党の宏池会(岸田派)を率いる。同じ広島出身で、著書「大宏池会の逆襲 保守本流の名門派閥」のある作家の大下英治氏は、こう語る。
「宏池会は広島が本場。その広島からは池田勇人、宮澤喜一と2人の首相を輩出した。岸田さんで3人目になるんです」
大下氏は、岸田氏と池田勇人元首相とを重ねた。
「安倍さんのおじいさまの岸信介氏が第56代、57代の首相を務めた後、安保騒動の責任をとって辞任。その後釜になったのが、池田勇人氏です。岸氏の流れとは別の池田氏が出てきて、日本がなんとなく落ち着いた。今、日本はコロナ禍が続いている“乱”の時代ですが、国民には安定というか、おだやかな日本になってほしいという願いがあるのではないか。岸田さんは国内を少し安定させ、国民の心がやわらぐような方向に引っ張っていってくれるのではないか」(大下氏)
岸田氏は、永田町では「いい人」で通っていると大下氏は言う。
「人柄は抜群にいい。だけど、これまでは少し人柄が良すぎて、突進力、攻撃性に欠けるんじゃないかと見られていました。だけど今回、総裁選の出馬会見で、極秘の岸田ノートを振り上げるのを見た瞬間、変わったなと思いました。ものごとを決める力はどうかなと思っていたんですが、決断力がにじみ出る表情になっている。これから宏池会魂を見せてほしい」(同)