また、倉渕教授の所属する学会には「窓を開けたいが、道路の騒音がうるさい」「上司が窓を開けるなと言う」などの相談が寄せられている。小規模の飲食店などでは、室内の人数に対して換気量が足りないという悩みもある。こうしたことへの対応などもあり、ダイキン工業によると、後付けできる換気設備「全熱交換器」の需要が伸びている。本体価格は20万~30万円くらいだ(取り付け費は別)。
職場や飲食店では透明のパーティション(間仕切り板)を導入しているところも少なくない。だが、大きすぎると換気を遮断するので注意が必要だ。
「本当に換気できているかわかりにくいと思います。暑い寒いは容易に体感できますが、換気不足で空気の質が悪いといった状況はなかなか自覚が難しいのです」(倉渕教授)
換気の目安となるのがCO2の濃度だ。常に1千ppm以下であれば、換気の悪い空間にはあたらない。測定器を購入するなら、極端に低価格のものや様々なガスを測定するものは避け、NDIR方式(非分散赤外線吸収法)がいいだろう。(編集部・井上有紀子)
※AERA 2021年10月4日号より抜粋