——「助演男優賞」(2017年)では、「いつか主役の座が奪いたい」と歌っていた。
R-指定:あれは「センターに行く」というより、「こっちを見ろ」という意味で書いた歌詞です。
松永:出始めの頃は見向きもされなかったから、スポットライトが当たっている人が羨ましくて、ギラギラした目で見ていたし、脇役/主役で分けて考えてたんですね。いまは、そういうふうには考えなくなりました。
■今を楽しめている
——スポットライトが当たる場所に立って、考えることは。
R-指定:ヒップホップ界は入れ替わりが激しくて、毎年“顔”が変わっていく。日本からも海外からもラッパーが出てくるけど、そいつらに負けたくないという気持ちが今でもすごく強い。どんなに若くて、この発想は出てけえへんって思うラッパーが出てきたとしても、勝ちたい。だからラップは上手くなり続けたい。曲の中で見せる自分のラップの進化が大切で、どんな状況になっても、ラップはやるやろな。「バレる!」でも歌ってるけど、失うものが増えてきて、最後に何を取るかと言ったら、俺はラップを取ると思う。
そうは言いつつも、この状況を楽しめてるんじゃないかなと思います。
松永:これが全部なくなったらと思うと、怖いですけどね。ただ、自分だけのものではなくなってきている、というところもあって、チームやいろいろな人の支えがあって、周囲も幸せにしたいという意識にはなります。自分のためだけに頑張るのは限度があるから、自分の努力によってまわりに波及する何かに快感を見いだすというのは、普通のことだと思います。
——ラジオDJやテレビ出演など、仕事の種類も増えた。
松永:他の仕事をすることによって、“音楽”という地盤が強化されているんですよね。ラジオをやることで曲を聴いてくれる人が増えたり、活動が軌道に乗って音楽をより作りやすい環境が整えられて、気持ちも楽になりました。でも、結局はCreepy Nutsの曲の印税とライブのギャラで生活していますし、それが一番楽しいし、一番頑張りたい。良い回り方をしているなと思います。