次にFXのコスト。ビギナーにわかりづらい仕組みだ。FXの場合、取引に際して「いくら」という形で手数料を徴収されることはない。
かといって、手数料がタダというわけではなく、「スプレッド」という見えないコストを取られている。その意味で、「手数料タダ」とうたっている広告をデカデカと出しているFX業者には、嘘……いや、違和感を感じる。
■理想のスプレッドは0.2銭以下
FX口座の米ドル/円の為替レート欄には「売 110.325 買 110.327」といったレートが表示されている。「1ドル=110.325円で米ドルが売れますよ、110.327円で米ドルが買えますよ」という意味だ。
110.325円と110.327円の差額0.002円=0.2銭を「スプレッド」という。このスプレッド(買値と売値の差)が投資家の払うコストだ。
「スブレッドは狭いほうが投資家にとっては有利です。米ドル/円で0.2銭以下だと精神的にもラクですし、利益も出しやすい」
取引通貨の最低単位とスプレッドを調査した結果、最低単位の小ささで選ぶなら、1通貨から、つまり1ドル=約110円から取引できる松井証券が際立つ。
100通貨から取引できるのは、証券系ではSMBC日興証券だ。
◎笹田喬志(ささだ・たかし)/FX投資家。2005年に一獲千金狙いでFX投資を開始。失敗の末、守り重視の手法に落ち着き、一財産を築いた苦労人。著書に『鉄壁FX』(ぱる出版)
(文・新藤良太、編集・中島晶子)
※『AERA Money 2021秋号』から抜粋