指数を提供している会社は、投信の運用会社が算出会社の指数を使うときに徴収する使用料で利益を得ているが、FTSEのほうがそのコストは少し安いといわれる。
■MSCIとFTSEに大きな違いがあった
最初に「迷う」と書いた3本の投信。「eMAXIS Slim 全世界株式」の「オール・カントリー」の指標はMSCI ACWI Index、「除く日本」はMSCI ACWI ex Japan Indexだ。
SBIの全世界株式は自社で運用せず、米国市場に上場するETF(上場投信)に投資することで、FTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスと同じような値動きを目指す。自社運用とETF投資。この点がまず大きく違う。
大型株・中型株重視のMSCIを採用した「eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)では米国株比率が56.1%、「除く日本」は59.6%。FTSEを採用する「SBI・全世界株式」の米国株比率は53.9%と少し低い。
■15年の積立結果で「除く日本」の勝利
さて、MSCIとFTSEでは、どちらが良いのか?
「世界株式市場では、アップル、マイクロソフトなど米国の巨大IT企業の株価上昇が続きました。10年以上の長期つみたてで見ると、わずかな差ですが、大型株の組み入れ比率の高いMSCIのリターンがFTSEより良いようです」
たとえば毎月1万円の積立を15年続けた場合、SBI・全世界株式インデックス・ファンドは155.7%。eMAXIS Slim全世界株式の「オール・カントリー」は162.3%。同「除く日本」は169.4%だった。
ここからは本誌の見解。「分散投資の観点から、銘柄数は多ければ多いほど良い。だからFTSEを採用するSBIの全世界株式!」というネット記事も見かけるが、実際の成績はeMAXIS SlimのMSCIが長期で少し勝っていたという“実績”は、あるわけだ。
■MSCIの日本株40%以上の時代があった
この理由は? 米国株の分量の違いもあるが、FTSEは、あまり業績の良くない小型株が「足を引っ張っている」のではないか。直接運用ではなく、投信の中にまたETFが入っているという組成面も影響しているのだろうか。