11月3日公開の劇場版「きのう何食べた?」に出演するほか、ドラマに映画に引っ張りだこだ。俳優活動にかける思いと、意外な原点を聞いた。AERA 2021年10月11日号から。
【写真】蜷川実花が撮った!AERA表紙を美しく飾った磯村勇斗
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――ド直球でグイグイ迫る部下、何を考えているのかわからない不気味なチンピラ、賢く立ち回る現代っ子ながら恩人の愛情を大切にして生きる半グレ……。幅広い演技力で「カメレオン俳優」とも称されている。今年は待機作品を含め、出演作はドラマ9本、映画4本、舞台1本という活躍ぶりだ。
11月3日に公開される最新出演作は、西島秀俊と内野聖陽のW主演で深夜枠として異例の大ヒットを記録したドラマ「きのう何食べた?」の劇場版だ。
映画化すると聞いた時は驚きました。原作がドラマの世界観にすごく合っていると思っていたので、逆に、どんなふうに映画ができあがるんだろう、どういうふうに作るんだろうという興味が湧きました。
――磯村が扮するのは、恋人の小日向大策(山本耕史)が「(僕にとって『風と木の詩』の)ジルベールのような美少年」と話す井上航。小悪魔的に小日向を翻弄し、シロさん(西島)とケンジ(内野)も振り回される。
■子どもっぽい可愛さ
漫画が原作なので、ビジュアル面では原作ファンの方を含めて楽しんでいただけるように、なるべく漫画に寄せたいと思っていました。髪形や髭の感じでちょっと汚らしいというか、だらしなさみたいな部分が見せられたらなと。姿勢からもモサッとした感じを見せたいとも考えていましたね。内面では、航は愛に飢えている人。親の愛情を知らずに育ってきたがために、パートナーである大ちゃんに対してすごく行き過ぎた愛の求め方をしてしまう。そこを嫌味でないように演じていきたいと思っていました。どこか可愛らしさが見せられればと。ただ可愛くしようと思って演じると、すごくあざとくなってしまうので、子どもが駄々をこねているような、子どもっぽさがイコール可愛さにつながればいいなと思って演じていました。