【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』が6か月ぶりに首位返り咲き
【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』が6か月ぶりに首位返り咲き

 テイラー・スウィフトの『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』が約6か月ぶりに返り咲き、2週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 先週の157位から1位にジャンプアップした『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』は、10月1日に公式ウェブサイトでリリースされたアナログ盤(LP)とサイン付CDの売り上げが加算され、週間セールスが15,807%増加の146,000に急上昇。ストリーミングを含むユニット数も、前週から1,931%増加の152,000に跳ね上がった。

 週間セールス146,000のうち、CDの売り上げが77,000枚で、アナログ盤の売り上げが67,000枚、カセットテープは1,000枚、デジタル・ダウンロードも1,000程度だった。なお、パッケージに比べると数は少ないが、ダウンロード数も先週から268%増加している。

 1991年に集計が始まったMRCデータによるアナログ盤の週間セールスとしては、今年の6月12日付チャートで自身の『エヴァーモア』が記録した102,000枚、9月4日付チャートでオリヴィア・ロドリゴの『サワー』が記録した76,000枚、8月14日付チャートでビリー・アイリッシュの『ハピアー・ザン・エヴァー』が記録した73,000枚に続く、4番目に高い売上枚数となる。なお、『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』のアナログ盤は、ゴールドとターゲット限定版のレッドの2種類がある。

 今週セールスが急増したことで、『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』の総売上枚数は40万枚を突破した。そのうちCDの売り上げが264,000枚を占め、そのうちの29%は今週記録したCDによる売り上げ77,000枚となっている。

 2021年現時点でのアルバム・セールスとしては、自身の『エヴァーモア』が記録した434,000枚が最多で、『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』はそれに続く2番目に高い売上枚数を更新した。なお、『エヴァーモア』の発売日は2020年12月11日なので、2021年にリリースされた作品としては現時点で最も売れたアルバムということになる。今年リリースされた作品では、378,000枚を売り上げたオリヴィア・ロドリゴの『サワー』が、その2作に次ぐ高セールスを記録した。

 昨年の7月24日にリリースした『フォークロア』も、2021年度の集計分だけで228,000枚を売り上げ、今年のベストセラー・アルバム7位にランクインしている。よって、テイラーは1位、2位、7位の3作をTOP10に送り込むという快挙を達成した。

 4月24日付チャートでNo.1デビューしてから、約6か月ぶりに返り咲いた『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』。前回からの期間としては、昨年の11月7日付チャートでルーク・コムズの『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』が約1年ぶりに首位復帰を果たして以来のブランク記録で、2021年では最長記録となる。なお前作『エヴァーモア』も、アナログ盤のリリース効果により6月12日付チャートで5か月4週間ぶりの1位を獲得した。

 前週からの上昇記録としては、1997年4月12日付チャートで故ノトーリアス・B.I.G.の『ライフ・アフター・デス』が176位からジャンプアップした175が歴代最高で、『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』は今週それに続く2番目の記録を打ち出した。

 テイラーは、これでBillboard 200での首位獲得総週を53週に更新し、ビートルズ(132週)、エルヴィス・プレスリー(67週)に続く3番目のアーティストとなった。彼女は、これまで9枚のアルバムが1位を獲得している。

 先週2位にダウンしたドレイクの『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』は、登場5週目で110,000ユニットと好記録を維持し、今週も2位をキープした。

 3位に初登場したのは、ミーク・ミルの新作『Expensive Pain』。本作は、1位を記録した前作『Championships』(2018年11月)から約3年ぶり、5枚目のスタジオ・アルバムで、ミックステープを含めると通算7作目のTOP10入りを果たした。なお、スタジオ・アルバム5枚は全てTOP3にランクインしている。

2位『Dreams and Nightmares』(2012年)
1位『Dreams Worth More Than Money』(2015年)
3位『Wins & Losses』(2017年)
1位『Championships』(2018年)
3位『Expensive Pain』(2021年)

 『Expensive Pain』の初動ユニットは95,000で、そのうちアルバム・ストリーミングが82,000、トラックごとのユニットが3,000、アルバム・セールスは10,000だった。週間ストリーミングは1億1,053万回を記録している。

 先週1位に初登場したヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインの『Sincerely, Kentrell』は、週間ユニットが48%減少の71,000に落ち込み4位にダウンした。以下、リル・ナズ・Xの『モンテロ』(45、000ユニット / 22%減少)が先週の3位から5位に、オリヴィア・ロドリゴの『サワー』(43,000ユニット / 5%減少)が5位から6位に、ドージャ・キャットの『プラネット・ハー』(43,000ユニット / 2%減少)が6位から7位に、それぞれ順位を落としている。

 続いて8位には、トニー・ベネットとレディー・ガガのコラボレーション・アルバム『ラヴ・フォー・セール』がデビューした。初動ユニットは41,000で、そのうちアルバム・セールスが38,000、アルバム・ストリーミングはわずか3,000程度だった(週間ストリーミング385万回)。

 本作は、同チャート1位に輝いた前作『チーク・トゥ・チーク』(2014年)から7年ぶり、両者による2度目のコラボレーション・アルバムで、レディー・ガガは10作目、トニー・ベネットは6作目のTOP10入りを果たした。レディー・ガガのアルバムが初めてTOP10にランクインしたのは、デビュー作『ザ・フェイム 』が10位に上昇した2009年3月7日付チャートで、その後6枚のアルバムを1位に送り込んでいる。

 一方、 トニー・ベネットのアルバムが初めてTOP10にランクインしたのは、『I Left My Heart in San Francisco』が7位に上昇した1962年10月6日付チャートで、はじめてランクインしてからのスパンを約59年に更新した。歴代最長は故ナット・キング・コールの63年8か月(1957年4月から2021年1月)だが、生存しているアーティストでは今週59年に塗り替えたトニー・ベネットが最長となる。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは10月15日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』テイラー・スウィフト
2位『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』ドレイク
3位『Expensive Pain』ミーク・ミル
4位『Sincerely, Kentrell』ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン
5位『モンテロ』リル・ナズ・X
6位『サワー』オリヴィア・ロドリゴ
7位『プラネット・ハー』ドージャ・キャット
8位『ラヴ・フォー・セール』トニー・ベネット&レディー・ガガ
9位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
10位『Donda』カニエ・ウェスト