ガソリン価格の上昇も家計を直撃 (c)朝日新聞社
ガソリン価格の上昇も家計を直撃 (c)朝日新聞社

 マーガリンやパン、コーヒー、サラダ油など、身近な食品の値上がりが相次いでいる。原材料高に加え、コロナ禍の世界的な物流コストの急騰も要因だ。何が起きているのだろうか。

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「生活必需品は買わない選択肢がない。家計のことを考えると、購入頻度が減りそうです」

 都内在住で40代の女性契約社員はこう嘆く。少しでも安い商品の購入や、節約の工夫をするなど、やり繰りに頭を悩ませているという。

 農林水産省は豆腐、サラダ油、マヨネーズといった加工食品の価格動向を調査している。それによると、今年春過ぎくらいから価格が上がり始め、夏ごろには上昇ペースが加速している。

(週刊朝日2021年11月5日号より)
(週刊朝日2021年11月5日号より)

 食品会社は今秋、相次いで値上げに踏み切った。明治は10月から「明治コーンソフト」を30円上げて320円(税別)にするなど、9商品で希望小売価格(同)を12~30円値上げ。山崎製パンも10月から、豆大福などの和菓子を平均6.5%値上げするなど、一部の和洋菓子の出荷価格を平均7%引き上げた。

 サラダ油などの油脂製品も値上がりしている。J-オイルミルズは11月から、家庭用、業務用、加工用いずれも1キロあたり30円以上値上げする。同社は今年、4月と6月にそれぞれ30円以上、8月に50円以上の値上げを実施しており、これらを合わせると140円以上の値上げとなる。

 コーヒーも値上げ。味の素AGFは10月から、レギュラーコーヒーで家庭用14商品と通信販売限定26商品を値上げ。店頭価格の上昇幅は約20%になると同社は推測する。

 輸入小麦の価格も上昇。農水省は政府売り渡し価格を10月から、平均19%引き上げ。同省は家計への影響として、小麦粉が1キロあたり平均14円、食パンは1斤2円程度それぞれ上がるとみる。

 こうした値上げラッシュの要因として、各社が挙げるのが原材料価格の上昇に加え、物流費の高騰だ。山崎製パンは「物流費や人件費も増加」、フジパンも「物流費、燃料費の経費も増加」としている。さらに、J-オイルミルズは「海上運賃の上昇」、UCC上島珈琲も「海上輸送料金も大幅に上昇」という。輸入小麦値上げの要因として農水省は、国際価格上昇のほか、「海上運賃が大幅に上昇」という。

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