ドキュメンタリー映画監督の海南(かな)友子さんが10歳の息子と年上の夫を連れ、今年1月からニューヨークで留学生活を送っている。日本との違いに戸惑いながら、50歳になっても挑戦し続ける日々を海南さんが報告する。
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息子がニューヨークの日本人学校に入った初日、学校から渡されたのはパソコンだった。
「授業で毎日使いますので、お子さんのGメールのアカウントを作ってお子さんが自分でログインできるようにしてください」
と言われた。そんなに使うの?と疑いながら息子のGメールアカウントを作ったが、次の日からすぐにパソコンを使う授業が始まった。グーグルクラスルームというシステムを使っていて、科目ごとにプリントや教材が割り振られている。宿題や持ち物もパソコンを通じて周知されるし、先生とのやりとりもメールだ。日本で紙の連絡帳を使っていたのとは隔世の感がある。
コロナ禍で、日本でもパソコンやタブレットでの学習が始まったが、運用の仕方は雲泥の差があった。調べ学習をPDFで作成する課題も多い。渡米した時にはすでにオミクロン株がはやっていたので、新型コロナウイルスに感染して休んだ時も全ての授業をオンラインで受けることができた。
一番驚いたのは音読の宿題だ。小学生の宿題の定番で、日本では毎月、カレンダーのような紙が配られて教科書の物語やことわざを声を出して読む。親がそれを聞いてカレンダーに丸をつけ提出する。息子も小1から毎日やっていた。
が、ニューヨークは違った。国語の教科書を音読する姿を、パソコンのカメラで自撮りする。うまく読めるまで何度もやる。そして、動画をパソコンを経由してサブミット(提出)するのだ。息子がスイスイと動画を撮って、自分1人で宿題をサブミット(提出)するその姿に、デジタルネイティブ世代との大きな溝を感じた。だって、私はコロンビア大学でのデジタル経由のリポート提出に苦労しているから。