![40周年記念盤は11月18日に発売される(ソニー・ミュージックレーベルズ提供)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/809mw/img_71702a3e5741454c96a07cd49c87cc4e89592.jpg)
80年代から90年代前半にかけて、世界中の音楽シーンに「現象」を起こし続けたマイケル。音楽だけでなく、独特のキャラクターも私たちの心に刻み込まれた。前出のシマさんの漫画でも、マイケルはおなじみのメンバーだ。
「いい意味で超人的なんですよね(笑)。ルックス的にも手足が長くてコスチュームも特徴的で、誰が見てもすぐわかる。たとえばキャラクターたちが通う学園で、避難訓練で学校を本当に燃やしちゃってまた建て替えるエピソードがあるのですが、そのお金を全部出したのがマイケルだったとか(笑)。『彼ならありかも』と思わせるような、キャラ立ちしていて描きやすい存在でもありました」
■“映える”ダンス 40年前に先取り
西川氏は、マイケルと日本との不思議な“縁”を指摘する。
「偶然ですが実は、マイケルと日本の黄金時代が重なるんです。ファミコンが発売されたのが83年で、マイケルとスーパーマリオはほぼ同時期に世界的に大ブレークしました。任天堂やソニーをはじめ日本企業が活躍した時代、マイケルも日の出の勢いでした。その後、日本はバブル経済が崩壊。マイケルもゴシップ記事を連発され、輝きが失われていきました。マイケルが注目を集める今こそ日本企業も復活してもらいたいですね」
マイケルがこの世を去ってから、すでに13年が経過した。今もマイケルのダンスを追求し、さまざまな関連イベントをプロデュース・出演するJackさんは、あらためてその価値をこう振り返る。
「たとえばTikTokではシンプルかつ映(ば)えるダンスが人気ですが、マイケルは40年前からそれをやっていたと言えるのかもしれません。今、最先端のメディアをマイケルが使ったら、どんな映える作品を見せてくれただろうかと気になりますね」
前出の萩原さんは、こう語る。
「マイケルはいろいろな誤解をされがちでしたが、そうしたことも含め、マイケル・ジャクソンという大きな存在だった気がします。もし現在も活躍していたら、ルーツミュージックにもう一度立ち返っていったと思う。ボーダーレスであることを極めたあと、自分のルーツにそれを集約させるようなことをしたのではないか。そうした音楽を聴いてみたかったですね」
時代が変わっても、名盤「スリラー」は永遠の輝きを放ち続けている。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2022年11月18日号