マイケル・ジャクソン「スリラー〈40周年記念エクスパンデッド・エディション〉」(ソニー・ミュージックレーベルズ)のジャケット
マイケル・ジャクソン「スリラー〈40周年記念エクスパンデッド・エディション〉」(ソニー・ミュージックレーベルズ)のジャケット
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 ポップミュージックの歴史に大きな足跡を残したマイケル・ジャクソン。伝説のアルバム「スリラー」の発売から、今年で40周年を迎える。世界中が魔法にかかったかのようにマイケルに夢中になったのはなぜだったのか。その秘密を探った。

【マイケル・ジャクソンの主なソロアルバムの軌跡がこちら】

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「気がつくと老若男女が、みんな、マイケル、マイケルと騒ぎ出していたんです」

 当時カリフォルニアのロサンゼルスに短期留学中だったマーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、マイケル・ジャクソンの「スリラー」がアメリカでブレークする瞬間を体感していた。

「ジャクソン5の末っ子だと聞き、子供時代の印象と異なりビックリしました」

 全世界での累計販売枚数1億枚超。“史上最も売れたアルバム”と言われるマイケル・ジャクソンの「スリラー」が発売されたのは1982年11月30日のことだ。

 まさに新しい何かが始まるような曲「スタート・サムシング」の軽快なビートで幕を開ける本作。エディ・ヴァン・ヘイレンがかき鳴らすギターとの組み合わせが衝撃的な「今夜はビート・イット」、ステージで披露したムーンウォークで世界に衝撃を与えた「ビリー・ジーン」、そして13分42秒におよぶ大作ビデオクリップでその人気を不動のものにした表題曲の「スリラー」……全9曲中7曲がシングルカットされ、アメリカではそのすべてがトップ10入り。全米チャートで通算37週1位獲得という、まさに“モンスター・アルバム”だ。

 11月18日には、未発表、レア音源を追加した40周年記念盤が発売されるなど、あらためて注目を集める名盤。そのときいったいどんな“マジック”が起こっていたのか、40年後のいま、ひもといていきたい。

「スリラー」を知るために欠かせない作品が、ジャクソン5、ジャクソンズを経て、79年に発売されたソロアルバム「オフ・ザ・ウォール」だ。「今夜はドント・ストップ」「ロック・ウィズ・ユー」などのヒット曲を生み出した。マイケルとタッグを組みこのアルバムをプロデュースしたのがクインシー・ジョーンズ。「スリラー」は、そのコンセプトを発展させた作品という見方もできる。

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