海外のオーディションを受けて、落ちまくっています。英語がダメだとかキャラクターが合わないとか。全身全霊すべてを尽くしてオーディションを受けるので、落ちたと聞いた時はハンマーで殴られたぐらい痛くて涙がちょちょぎれます。俳優としてもそうやって自信なくすし映画を見ても自信をなくす。本当に自信をなくす日が多いんです。でも、監督も俳優ももう少しできるようになりたい。私はコツコツやってみて、自分がどういうふうになるのかなって興味があります。
30年来、ロサンゼルスのハリウッドサインに憧れ続けてきた。
60歳を過ぎたら普通は余生じゃないですか。人生も一段落してあとは好きなことをやるぞ、とか。だけど私は、「AYA」(1990年)というオーストラリアの映画に出演した時に、次は米国に行きたいと思ったんです。それから30年、ロサンゼルスの丘の上のハリウッドサインを見るたびに胸がキューンとしていました。それで英語を勉強していたんですが、いつまで経っても上達しないし、勉強をしても夢ですよ。60歳過ぎてどうやってハリウッド作品に出演するのか。でもね、それが30年経って「G・I・ジョー」に出演できたってすごくないですか。私も決まった時はびっくりでした。「本当ですか」って。英語が下手な人を探していたそうだから、「下手でよかった」という(笑)。こういうことってあるんだなって思いました。
まだまだ挑戦を続けるという。
可能性は自分で閉じてはいけないんですよ。夢は諦めなければかなうって言いますが、本当です。オーディションに何度落ちても、「もうダメだ」というところまでめげずにやっていきます。私は60歳からが余生ではなく、60歳までが準備期間だったんだとすごく思っているんです(笑)。
(ライター・坂口さゆり)
※週刊朝日 2022年11月18日号