
ユーザベース創業者の梅田優祐、マネーフォワード創業者の辻庸介ら今をときめく起業家の薫陶を受けてきた梶が、徳島を知ったのは17年。スタートアップを対象にした投資や人材マッチング・サービスを提供する会社「Beyond Next Ventures(ビヨンド・ネクスト・ベンチャーズ)」のイベントでのことだった。
「一緒にやってくれ」
梶は「3Dプリンターを使って途上国で義足を作る」と熱く語る徳島に、梅田や辻と同じ匂いを感じ取った。
「どんな逆境でも、とにかくやり切る強いパッションを持っていました。さらに儲(もう)からなくていいというNPOではなく、ビジネスとして成立させるという強い意志を持っている。本人はいつ寝てんだろうというくらい働くし、誠実。人柄的に周りが助けたくなるところも辻さんなんかと少し似ています」
イベントの後、徳島は梶を喫茶店に連れ出して頭を下げた。
「君の力が必要なんだ。頼む、一緒にやってくれ」
梶はボランティアで徳島の仕事を手伝うようになる。やがて共同創業者となることを決意。梶という強力な参謀を得て、徳島は会社の設立を決める。そしてインスタリムが誕生した。(敬称略)(ジャーナリスト・大西康之)

※AERA 2021年11月22日号より抜粋