今年7月、木下都議に対する辞職勧告決議が起立総員で可決された

 木下氏に対して「ぜひ続けて欲しい」という区民の声は本当にあるのか。

「(初当選後から)都議はいろいろな人から相談ごとなどを聞いてきたでしょうから、『100%ない』とは言えません。ただ、今回はそもそも免停中に人身事故を起こしたというのですから、言語道断です」(同)

 警視庁は9月、道路交通法違反や自動車運転死傷処罰違反の疑いで木下氏を書類送検した。今年5~6月にかけても、都内で無免許運転を6回した疑いもあると報じられた。

 10月12日、こうした事態を受けて板橋区議会では、木下氏に対する非難決議を全会派一致で可決した。別の板橋区議は非難決議に踏み切った理由をこう話す。

「木下都議は板橋区選出の都議ですから、私たち区議も何か行動を起こそうということで、非難決議に至りました。普段は、無所属や野党系会派の議員は反対することも多いのですが、今回は全会一致でした」

 一連の木下氏の行動については強い口調でこう批判する。

「板橋区民もあきれています。普通の感覚じゃないですし、とても理解できない。『続けて欲しい』という声があると言うけど、“雲隠れ”していて区民と接触する機会もないのに、よくヌケヌケとそんなことが言えたものだと思います。木下都議を応援した区議は何人かいますが、その一人は『あんな人とは思わなかった。今では応援したことが恥ずかしい』と言っていました」(同)

 記者は木下氏に直接話を聞こうと、豊島区内にある自宅を訪ねた。3階建てで、壁にはツタがからまる瀟洒な建物だ。「KINOSHITA」という表札も出ている。外にはバイクや自転車のほか、観葉植物の鉢がいくつか置いてあった。当日は不在のようだったので、近所の人に話を聞いたが、事故以前には、木下氏が都議をしていることを知っている人はほとんどいなかった。

「木下さんは娘さんと2人暮らしだったはずですが、あの事件で騒がれてから、見なくなりましたね。ホテル暮らしをしているみたいですよ」(近所の住民)

次のページ 東京都には4200件以上の苦情が殺到