10月20日には一時、「1ドル=150円台」をつけた
10月20日には一時、「1ドル=150円台」をつけた
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 急激で記録的な円安はいつまで続くのか。専門家の分析や過去のデータ、傾向などから、その行方を探った。2022年11月14日号の記事を紹介する。

【グラフ】過去に超円安局面だった時の米ドル/円の推移はこちら

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 久々に海外旅行に出かけた人の間で、円安ショックを痛感する声が飛び交っている。9月末から値上げされたとはいえ、日本ではマクドナルドのビッグマックを410円で食べられる。ところが、ハワイでは5.59ドルで販売されているので、1ドル=147円で換算すると、2倍超の約822円に相当するのだ。

 急ピッチで進んだ円安に対し、政府・日銀は9月22日に約24年ぶりの円買い・ドル売り介入を実施した。その結果、一時は5円以上も円高に戻したが、すぐさま反転。10月20日には1ドル=150円台に達し、1990年8月以来の円安を記録した。

 再び政府・日銀は介入に踏み切って一時は145円台まで押し返したものの、相場のトレンド(方向性)を逆転させるまでには至っていない。財務省は9月29日~10月27日に実施した為替介入の総額が6兆3499億円に達したことを公表している。10月の介入額は、それまで月次で過去最大だった9月の2.2倍にも及んでいたのだ。

■90年代の円安と比較

 政府・日銀が力任せにせき止めようとしても、ドル高・円安の勢いのほうが勝っているのだ。変動相場制へ移行してからの推移を振り返ってみると、ここまで急速に円安が進んだケースはかなり限られている。直近では2012~2015年の局面が該当するが、当時における円の最安値は125円台にすぎない。

 現在と同じく、140円台の円安を記録したのは1995~1998年だ。冒頭で触れたように1990年には150円台をつけていたが、それを境にドル・円相場では急速にドル安・円高が進み、1995年に80円割れに達するまでその傾向は続いた。以降、流れが逆転してドル高・円安トレンドが発生し、140円台後半まで達したのが1998年のことだった。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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