ちなみに以前、皮膚科の先生に背中のイボを取ってもらった時、「僕、痛みに弱いんです」と言ったら即答で「ええ。分かります」と言われ、まだ俺の体に指一本触れてないのになぜ痛みに弱いことが分かるんだ!と驚愕したことがありますが、それほどまでに痛みに弱い僕が正直に書きますと、小指、めっちゃ痛い。前回以上に、というか、前回とは明らかに違う種類の痛さ。
で、今回はしっかり行かなきゃと思い、行きました、整形外科。
先生は僕の顔を見るなり、「お仕事、大丈夫ですか?舞台中だったりしませんか?」と気遣ってくれました。身元がバレてるようなので包み隠さず話そうと思い、「舞台はないんですが、来年の大河を撮ってまして、時代考証的に、みんな裸足なんです。だから、もし添え木とかする場合でも撮影時は外さねばならず、その辺りも先生にご相談しようと…」と言い、レントゲンを撮ることに。
折れてませんでした。ただ、前回はやはり、ヒビ、入ってました。今のレントゲンって凄いですね。一目瞭然。前回のヒビがちょっと変な形でくっついていて、そこに今回の打撲。今回は骨に異常はないものの、ちょうどそこに神経が通っていて、つまり今回の痛みは、骨によるものではなく、神経の痛みということ。
なるほど前回とは異質な痛みなのも納得です。納得ですが、やはり普通には歩けず、足を引きずらないと歩けません。ホント舞台中でなくて良かった。あ、関係各位、そんな激しい動きをするシーンはしばらくないはずなので、だましだまし芝居はできると思うので一切のご心配はなきよう。
ただ、待合室、そのあと痛み止めの薬をもらいに行った薬局、町中、近所、至るところで、足を引きずる僕に「大丈夫ですか?撮影」と色んな人に声を掛けられたので、ありがたいと感謝すると共に、気をつけなきゃと改めて自戒してるところでございます。
ところでウチの妻、いわゆるマーツーは、以前、僕が洗面所でギックリ腰をやって、「はうっ」と叫んで崩れ落ちたとき、その2時間後くらいに帰宅し、「なんでそんな面白いこと、私のいないときにやるの?」と佐藤史に残る残酷発言をしましたが、今回も「少しは学びなよ、52歳」と叱咤されております。
そして整形外科の先生はレントゲンを見ながら、「佐藤さん、これ、スマホで撮ってもいいですよ」と言うので、ガラケーを出したら、「ガ、ガラケー!?写真が撮れるんですか?ガラケーで」となかなかエッジの効いたことを言うので「撮れますよ。先生、ガラケーを馬鹿にしないでください」とわりと真っ当な返しをしたら看護師さんと一緒にケタケタと笑ってました。信頼できそうな先生です。
そんなわけで繰り返しになりますが、仕事上の関係各位、および町中で僕を見かける方々、佐藤二朗が足を引きずってても、骨は折れておりません。神経の痛みです。また日々、痛みは和らいでおります。仕事に一切の支障はございません。心配ご無用。そして、これを学んで52歳、今後さらに気をつけますです、はい。
■佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける。原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)が全国公開中。