小池百合子都知事
小池百合子都知事

さらに記者に「7月2日に事故をして、発覚することなく当選した。罪悪感がなかったのか」と問われると、「そのことについては、規範意識が薄いと責められても仕方がないと思っていますし、人身事故について選挙後の5日に連絡をすることになったが、ただちに公表できなかったことは、公人としてのリスクマネジメントができておらず、申し訳なかったと思っています。そして、当て逃げについては、私としては、当て逃げという認識はなかった。現実として、嫌疑不十分ということで、その部分については、不起訴になっています」

 記者が「不祥事を起こしながらも、都議として働く義務があるとお考えだったのか」と突っ込むと、「辞職を決めるまではそのように思っていました」と答えた。

 辞職に至った背景には、小池都知事の存在があったようだ。木下氏は小池知事と記者会見の前に面会をしたことを明かした。

「小池都知事とお話をする機会がありました。ここはいったん退いて、今回の交通事故の解決に専念されたらどうかとのご助言をいただき、また、これで人生が終わるわけではなく、今回の不祥事を反省し、再出発をするときには相談に乗る、というお話をいただきました」

 これについて事情に詳しい政府関係者はこういう。

「検察の捜査や起訴内容を見ると、実刑判決までは見込めず、そうなると自動失職とならない。本人が辞職する気がない以上、4年間、議員としての活動を続けることも想定されました。こうした中、小池知事が辞職を頑なに拒む木下都議に対し、政治家としての出処進退に関して厳しく諭したようです。昨日の小池知事の会見で『本人が出処進退を判断することを「確信」』と発言したのは、自身が出処進退を決断する、道筋を作ったということです」

 木下氏の親族もこう語る。

「都議を続けてほしいという人は本当にいます。やりたい政策もあります。しかし、非難されるような事故を起こしたことは間違いない。給料やボーナスが税金から出ているので、都議会を欠席してという批判ももっともなこと。ただ、本人は続けたいという思いと、対人恐怖症のようになってしまい、外からの話を聞いて理解することも、今の心境を説明することも厳しくなっていました。今思えば、都議会に欠席せず最初からきちんと説明しておくべきだったと反省しているようです」

(AERAdot.編集部 吉埼洋夫、今西憲之)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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