AERA dot.編集部
産総研報道室は山下容疑者の逮捕についてこう回答した。
「現在、事実関係を確認中ですが、まだ本人（山下容疑者）と接見できておりません。事実とすれば誠に遺憾に存じます。引き続き事実を調査し、必要な対応を迅速に講じさせていただきます」
その他、愛知県警には自称自営業の男（38）と動画販売業の男（43）が逮捕された。2人合わせて約4550万円を売り上げていたとみられる。
「FC2」に関しては、過去にも一斉摘発された例がある。19年6月に「FC2ライブ」でわいせつ動画を配信したとして、公然わいせつの疑いで警視庁に男女7人が逮捕されている。この時期は愛知県警、京都府警、福岡県警なども一斉摘発に踏み切り、「FC2」に絡んで多数の逮捕者が出た。元セクシー女優とスカウトが全裸でわいせつ行為をする動画などもあり、世間の耳目を集めた。
だが、それ以降も違法なわいせつ動画は配信され続けている。配信者への利益の還元率が他の動画サイトより高いとされており、今回の海上自衛官のように、他人が所持している動画をネットで集め、無断で配信して手軽に利益を得ようとする者も後を絶たない。事業者は海外にサーバーを置くことで摘発を免れているのが実態だ。逮捕された映像制作会社役員の男はオランダの仲介業者を通じて配信するなど経路も複雑で、当局とは「いたちごっこ」が続いている。
全国紙社会部の記者は、一斉摘発に踏み切った当局の姿勢についてこう語る。
「ネット上には『FC2での稼ぎ方』を指南するサイトが複数あり、逮捕された海上自衛官の男も参考にしたようです。海外サイトということもあり、違法だけどバレそうにないという誤った認識が広まっている。FC2は動画サイトをうたっているが、アダルト動画が60万本を超え、そうでない動画はわずか1000本程度。犯罪行為を助長する悪質なアダルト動画サイトと見て当局も本腰を入れているのです」
前出の捜査関係者はこう語気を強める。
「FC2は潰すまで徹底的にやるつもりだ。女性に金を払って自分たちで動画を撮影しているランキング上位者は特に悪質性が高い。（わいせつ動画配信は）小遣い稼ぎなど軽い気持ちでやるべきではなく、違法行為だということを知らしめていく」
警察が目を光らせる、わいせつ動画の配信。気軽に手を出すと痛い目を見ることは間違いない。（AERAdot.編集部）
ラリー遠田
ラリー遠田
沖昌之
小島よしお
