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 子供の頃、「テレビ禁止」「漫画禁止」など各家庭のルールがあったと思います。今の子供たちに対しては「YouTubeを見せるかどうか」という議論が各家庭で行われているのではないかと思います。私はYouTuberですが、親として、子供が長時間YouTubeを見続けることに対する弊害を不安視しています。

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 YouTube上には、膨大なコンテンツが存在し、優秀なアルゴリズムによって、次々と視聴者が好みそうな動画が「おすすめ」されます。例えば親が「こんな動画を見てほしい」と考え、子供のためになる動画や教育的な動画、有益な動画を積極的に見せようとしても、30分も放っておけば、子供たちは関連動画から「好きな」動画を選択したり、おすすめ動画を視聴して、親が意図する動画とは異なる動画にたどり着いているはずです。

 子供向け動画には、「お菓子」のような動画と「野菜」のような動画があります。前者は、子供たちが大好きで、中毒になるような動画です。一時期、YouTubeではLearn Colorsという動画が流行しました。色の種類を英語で歌った音楽と、簡単な寸劇の組み合わせ動画です。これが、なぜか世界中の子供たちにウケて、1人の子供が1日に何十回も再生するようなキラーコンテンツになりました。世界中の子供向けYouTuberが、こぞってLearn Colorsを制作するようになり、桁違いの再生回数を叩き出しました。「お菓子のような動画」ですので、特に内容はなく、教育的でもなければ繰り返し同じことを言うだけの動画です。しばらくすると、YouTubeはガイドラインを改定しました。現在では、教育的な内容のない、繰り返し同じ単語をいうだけの動画を量産することは禁止されています。

 一方、「野菜のような動画」は、有益であり頭や身体のためになる動画と分類します。普通に制作しても、教育的な面を重視した動画なので多くの子供たちは積極的に見ようとしたり、中毒になる確率は低いです。しかしながら、教育的な側面を重視した内容であっても、配信者側が工夫をすれば子供たちはファンになって視聴します。YouTubeに限らず、テレビ番組も本も漫画も、玉石混交です。一括りにして「禁止」するのも、弊害があると考えます。「YouTubeを見る弊害」を考えることはあっても、「YouTubeを見ない弊害」について、考える人は少ないのが現実です。

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