左から松井一郎氏、吉村洋文氏、橋下徹氏(2015年11月の大阪W選挙)
左から松井一郎氏、吉村洋文氏、橋下徹氏(2015年11月の大阪W選挙)

 松井氏は橋下徹氏ともに維新の会を立ち上げ、国政政党に育てた創立者だ。その存在はとてつもなく大きいという。

「松井氏の存在は橋下氏とともに、まさにTHE維新ですよ。維新の中でもめごとがあっても、最後は松井氏の鶴の一声で決まる傾向がある。吉村氏が出馬するなら、代表選をやるべきとの声も多かった。しかし、吉村氏は不出馬と頑な姿勢でした。トップである松井氏への“忖度”でこうした投票結果になったと思います」(前出・維新の国会議員)

 衆院選で野党第2党となった維新の躍進は岸田政権にも脅威に映ったようだ。官邸は日本維新の会の代表選をめぐる情勢を分析した資料を「極秘」で作成していた。

 入手した資料によると、<代表選実施反対が過半数を占める公算大。その結果、党規約に従い、代表選を行うことなく、松井代表が再任される予定>

<代表選実施を求めることは、すなわち「松井おろし」に直結。現体制への反旗を翻すことに直結>

<代表選実施への声を上げること自体が事実上、タブー視>

<創立メンバーである橋下徹氏はもとより、松井代表、吉村副代表は「神聖不可侵」な存在>などと記してあった。

 政府関係者がこう解説する。

「27日の臨時党大会で改正されましたが、代表選に立候補するためには、地域政党に過ぎない大阪維新の会の推薦が必要という党規約(第7条の7)が日本維新の会にはあった。この規約で国会議員らは代表選に立候補しづらい仕組みとなっていた。予想どおり、松井氏の続投が決まりました」

 自民党幹部はこう言う。

「自民党は10月に代表選をやり、大いに盛り上がった。代表選に出たメンバーは一気に知名度があがった。立憲民主党も代表選をやっており連日、ニュースになっている。代表選というのは党一番のPRになるもの。そんな絶好のチャンスなのに自ら行わないと言う維新は、やっぱり大阪ローカル、松井商店から脱却できないのか、という気がしますね。維新から追い上げられている自民党としては正直、ありがたいね」

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代表選実施に投票した吉村氏の真意は?