AERA編集部作成(AERA 2021年12月6日号より)
AERA編集部作成(AERA 2021年12月6日号より)

――『Dr.スランプ』は、当初、主人公は則巻アラレではなかったという。 

 鳥山さんの『Dr.スランプ』の当初のネームでは、則巻アラレは一話に則巻千兵衛の発明品として登場し、以降出てこない予定でした。でも、僕には“目が悪いロボット”というキャラクターが魅力的に映った。

 それ以前に、鳥山さんが描いていた短編の『ワンダー・アイランド』はむさ苦しい男が主人公なんですが、捨てキャラなんですが、蜂や天使、小さいキャラクターが出てくる。それがすごくかわいいんです。

 それもあって、なんとかアラレを主人公にできないかと思いました。

 それで鳥山さんと話をすると、「少年漫画だから女の子を主人公にするのは嫌だ」と。だから賭けをして、読み切りで女の子が主人公の『ギャル刑事トマト』という漫画を描いてもらいました。それが読者アンケートの人気投票3位以内に入ったらアラレを主人公にしてほしい、と。すると『ギャル刑事トマト』が3位に入って、アラレが主人公になったんです。

「ジャンプ」を含めた少年誌に、女性読者や今までにはなかった漫画を読みたいと思う読者が集まり始めた動きを後押ししたのが、『Dr.スランプ』だったと思っています。

キャラクターの魅力の重要性

――84年、鳥山明と『ドラゴンボール』の連載をスタート。だが、間もなく読者アンケートの順位が下がり始めた。再認識したのがキャラの魅力の重要性だ。

 毎日鳥山さんとディスカッションをして人気のない理由を考えました。「悟空ってどういうキャラクターなんだろう?」という話になった際に、お互いよくわからなくて「これはまずいね」という話になりました。いろいろと考えていった結果、鳥山さんから「強くなりたいんじゃないでしょうか」という話があった。そこで悟空の“強くなりたい”というキャラを立たせるために、悟空と亀仙人以外のキャラを一回全部捨てたんです。ただし、亀仙人のところで修行するのが悟空ひとりだとキャラが立たないので、対照的なキャラクターとしてずる賢くて要領の良いクリリンを作った。そのふたりが弟子として修業する話を数週間載せて、そのあとどれだけ強くなったかを見せる場として天下一武道館を設定しました。そこで一気にアンケートの人気が上がったんです。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ