
──オックスフォード公爵の住まいはウッドストックという設定ですが、これはチャーチル家のある村ですよね。チャーチル家へのオマージュが込められているのですか?
「確かに、オックスフォードシャーにあるこの小さな村は、チャーチル家の邸宅ブレナムパレスのある所で、そこが一族の住まいだ。だが、僕の演じるオックスフォード公は、それとは全く関係なく架空の人物だよ。現実に、他にアール・オブ・オックスフォード(オックスフォード伯爵)というのは実在するが、それとも全然関係ないんだ」
──本作も実際に貴族の館で撮影を? 豪奢な館での撮影は役作りに役立ちますか?
「本作のためではないが、貴族の館で撮影したことはある。キーラ・ナイトレイと共演した映画『ある公爵夫人の生涯』(08年)での撮影の時だった。場所はノーフォークにあるマナーハウスのホウカム・ホール。ここは非常に有名なカントリーハウスで、過去の時代の記憶に包まれているというのかな。とてつもなく巨大な敷地内に、あれほど壮大かつ贅沢な邸宅を建てることが可能だった時代があったということの証しというか。それに対する人の意見はそれぞれ異なるとは思うが、我々の歴史の一部だ。大地主や貴族の財産を没収しようとする運動も続いているが、他方でこれらの館が存在する事実も否定できない。建築として壮大で素晴らしいという点も。僕は歴史に非常に興味があるから、歴史のある場所で撮影できるのはとても興味深い体験だよ」
(高野裕子[在ロンドン])
※週刊朝日 2021年12月10日号