大宮エリーさん(左)と膳場貴子さん(photo 篠塚ようこ)
大宮エリーさん(左)と膳場貴子さん(photo 篠塚ようこ)

 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。7人目のゲスト、キャスターの膳場貴子さんが報道を志した原点は大学時代にありました。

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大宮:大学出た後は就職しようと?

膳場:思った。半年も東大にいたら、自分は研究者になれるかどうかわかっちゃう。もともと、アングラな日本文学に興味があったんだけど、知識量も分析力もはるかにすごい友人たちを見て、自分はスペシャリストになるタイプじゃないなって悟って。

大宮:研究者に向いている人って?

膳場:何かに没入できる人?

大宮:私から見ると、膳場さん十分没入している感じに見えますが。

膳場:してないよー。ただ、興味の幅は広いから、メディアには向いていたのかも。ちょうど専門課程に進んだころ、薬害エイズが社会問題化して、同世代の川田龍平さんっていまは参院議員ですが、血液製剤でHIVに感染したと顔を出してカミングアウトしたんです。私、1歳違いの子が薬害で苦しんでるのがショックで、彼が「厚生省を人のくさりで囲もう」って呼びかけた時、参加しにいったの。チカラになりたいって。

大宮:えー! 学生のときに?

膳場:学生のときに。

大宮:みんな行ってました?

膳場:行ってなかった(笑)。

大宮:加藤登紀子さんの遺伝子を受け継いでいる人がいた!

膳場:いえいえ。でも実は、もう一方の当事者の郡司篤晃さんって元厚生省生物製剤課長が、教授として学科にいらしたんですよ。報道では激しく糾弾されていたんだけど、誠実な先生で。授業を受けながら、これはなんだろうと。私には断罪できないなとすごく思って。

大宮:なるほど。

膳場:新しく出てきた感染症で、当時は未知な要素が多かったから、あのとき担当課長だった教授の対応を、無策で無責任だったって責めることはできないんです。

大宮:じゃあ人災じゃなかったってこと?

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