イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 民主党政権時代の鳩山由紀夫首相は、そのことを知らずに「普天間飛行場を県外に移設させるべき」と主張し、外務省や防衛省の幹部からそのことを知らされると、強く反論もせずに辞任してしまった。

 17年に安倍晋三首相(当時)は、憲法改正を行うと強く主張して、細田博之氏をその責任者にした。

 私は安倍首相に、「細田氏に、憲法改正に取り組む覚悟があるのか」と問うた。すると安倍首相は「その覚悟があるのかどうか、聞いてみてほしい」と言ったので、約1時間半、細田氏と話したのだが、憲法改正は極めて難しそうであった。そこで安倍首相に、憲法改正の前に、日米地位協定を改定すべきで、トランプ大統領(当時)と密接な関係のあなたならばできる、と強く訴えた。

 安倍首相は「やる」と決断した。

 だが、去年5月、外務省の幹部に「米国国防総省の反対で、現状では日米地位協定の改定は難しい」と言われた。その後、どうすればよいのかと、外務、防衛両省の幹部たちと議論をしていたのだが、安倍首相が途中で辞任し、後任の菅義偉首相も辞任してしまった。

 何とかせねばならぬ大問題だ。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年12月17日号

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