■日本株の投資信託を持っていていいのか?
10年後の日本株はどうなっているのだろうか。個人にとって、手持ちの日本株投資信託を老後まで10年、20年と保有していていいのかという大問題にもつながる。
圷さんは「今後10年を考えると、日本株は米国株より有望な面もあると思っています」と熱を込めて話す。日本経済は斜陽といわれるが?
「日本経済は徐々に成熟化していくでしょうが、GDP(国内総生産)の伸びが鈍化したとしても、上場企業の利益が伸び悩むとは限りません」
日本企業は海外の経済成長を取り込める態勢になっており、日本経済と日本株は別のものとして捉(とら)えるべきだというのが圷さんの持論だ。
「これまでの10年は新しいテクノロジーが生まれました。『GAFAM』(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)をはじめとする米国の企業が時代のスタンダードを作ってきましたが、こうした流れはひとまず一巡したと思っています。
これからは、完成したテクノロジーを応用してオールドエコノミーが変わっていく時代に移りそうです」
■日本企業は既存のモノを改良するのが得意
日本企業はイノベーション(技術革新)は苦手とされる一方、既存のテクノロジーを改良し、応用していくことは得意だ。このため、今後は変身していく余地が大きいのだという。
企業統治の原則を定めたコーポレートガバナンス・コード。欧米が30年の試行錯誤を経て作ってきたものを、日本は5~6年で一気に取り入れた形だ。急速に浸透中のESG投資は?
「現段階で環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の充実した企業は収益がしっかりしていて長期的に成長していけるでしょう。一方、今は出遅れ気味でも、これから変化する企業もあります。株価の動きは、後者のほうが大きくなるものです」
圷さんが語るように、業績でもESGでも「これから変化する企業を探す」のが株式投資の基本である。