![(左から)深野康彦(ふかの・やすひこ、59)/ファイナンシャルリサーチ代表、1級ファイナンシャルプランニング技能士。FP界の第一人者として情報発信/前山裕亮(まえやま・ゆうすけ、37):ニッセイ基礎研究所金融研究部准主任研究員。大和総研などを経て現職。資産運用の調査、分析を担当[写真部・張溢文(深野さん)、本人提供(前山さん)]](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/7/6/840mw/img_76a64e63dce90126dd9107c669e8568e71693.jpg)
駆け足でランキング4位までを見てきたが、すでに気づいた人もいるだろう。過去1年のリターンを見比べると、米国のREITファンド以外は、5位の「eMAXIS Slim 米国株式」を下回っているのだ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは次のように語る。
「長期で見ても、海外株式に投資するアクティブファンドでインデックスファンドに勝っているものはかなり少ないのが現状です。海外株式ならインデックスファンドがいいと思います。ただし日本株ではアクティブ運用にも妙味があります」
■中小型株投信に妙味
米国株と比べれば、日本株の取引量は劣る。しかも日本株では1日の値幅制限があり、一定水準に達するとストップ高・ストップ安として取引が停止される。こうした違いが日本株のアクティブ運用ではプラスに働くことがあるという。
「株価を動かすニュースが出ると、米国株では即座に相場へ反映されますが、日本株では、やや時間を要しがち。このタイムラグが味方になるのです」
特に多くの機関投資家が投資対象外とする中小型株(大型株と比べて流通株式数が少ない)はチャンスが訪れやすい。
そこで今度は国内の中小型株ファンドの運用実績を検証してみよう。過去3年のリターンで順位付けした表をみると、1位と2位は年率30%超のリターンを達成、人気化して現在はどちらも販売停止中だ。
「中小型株ファンドは資金が集まりすぎると運用しづらくなります。そこで新規販売を中止して規模拡大を抑えるのです」
機関投資家は、大口の資金を投入しづらい中小型株を敬遠する。純資産総額が膨張した中小型株ファンドは銘柄選びに窮する。売りたいのはやまやまだが販売を停止するという流れだ。結局、こうした投信で利益をがっぽり得られるのは販売停止前に異常なほどの好調に気づき、買った人たちに限られる。
中小型株ランキングの中で基準価額の高騰が突出しているのは2位の「DIAM新興市場日本株ファンド」。新規設定時に1万円の基準価額で購入した人は、値上がり分だけでも元本が14倍超に増えた計算になる。
国内の中小型株ファンドの中には「お宝」が潜んでいたことがわかった。だが素人が“当たり”を引き当てるのは難しい。ならば、誰もが“平均点”を享受できるインデックスファンドを選ぶのが無難かもしれない。(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)
※AERA 2021年12月13日号
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