AERA 2021年12月13日号より
AERA 2021年12月13日号より

■300円の毎月分配

投資対象が米国株、毎月分配の予想分配金提示型と、投資家が好む二つの要素をセットにした投信です。米国株好調による値上がり、1万口あたり毎月200~300円の高分配が続いたことが人気の理由でしょう」

 予想分配金提示型とは、毎月の決算前の基準価額などを目安に分配金額をあらかじめ提示する方式のこと。基準価額の上げ下げなどにより、もらえる分配金が増減するのが一般的だ。

「通常の毎月分配型は、債券やREIT(不動産投信)、高配当株などから得られるインカムゲイン(利回り収益)が分配金の元です。これに対し、組み入れた株式などのキャピタルゲイン(値上がり益)を元とするのが予想分配金提示型」

 安定的に得られるインカムゲインに対し、キャピタルゲインは相場動向に左右されやすい。期待外れのケースもあるが、コロナ禍で米国株が突出した上昇を示したことから、1位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」は高水準の分配を維持できた。

■資金流出が続いている

 続く1兆円ファンドは「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」だ。ここ1~2年、国内市場ではESG(環境・社会・企業統治)の観点で銘柄を選ぶ投信がブーム化している。人気の火付け役となったのがグローバルESGだが「21年4月以降は資金流入の勢いが鈍り、人気はやや落ち着いた様子」だという。

 3位は「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」で、こちらは従来タイプの毎月分配型ファンド。06年~07年に最初のブームが到来、19~20年前半にも人気化したが、配当を重視して銘柄を選ぶコンセプトが足元では災いしているようだ。

「コロナショック後の株価上昇に乗れず、パフォーマンスがイマイチだったことも影響したのか、20年10月以降は資金流出が続いています。1位と3位の投信は、少なくとも分配金が不要な人は選択肢から外れます」

 4位の「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」は、テクノロジー系の銘柄にターゲットを絞ったテーマ型投信だ。

「設定は19年6月ですが、テスラ株高騰の恩恵で20年の収益率がトップとなるなどパフォーマンスがよかったことから、20年10月~21年3月に再び売れました。ただ、4月以降は資金流出が続いています」

 前山さんいわく、純資産総額があまりに小さい投信は避けるべきだが、「一定以上あるものなら純資産総額はあまり参考にならない」。大きければ大きいほどよい投信=今後の収益が期待できるということではない。

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