就職情報会社が誤送信したメールが「学歴フィルター」としてネット上で炎上した。就活生の所属大学によって企業の対応は異なるのか。専門家に聞いた。AERA 2021年12月20日号の記事を紹介する。
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就職情報会社のマイナビが12月6日、「大東亜以下(9)」などとタイトルに記したメールを就活生約1万6千人に誤送信し、「学歴フィルターではないか」との波紋が広がった。
「大東亜」とは大東文化大学、東海大学、亜細亜大学を指す。企業は採用において学歴不問を掲げながら、実際は偏差値上位の大学を優先する「学歴フィルター」を行っているのではと、これまでも騒動になってきた。
■フィルタリングを否定
マイナビ広報によれば、就活生へのメール配信作業とは別の作業時にコピーしたものを、誤ってメールのタイトルに貼りつけたという。
別の作業とはキャリアアドバイザーによる面談枠の管理。他部門からの連絡が重複しないように区分けした名称の一つが「大東亜以下」で、(9)はその枠に9人のキャリアアドバイザーが対応可能だということを示しているという。
偏差値によって大学群を分けているのではとの問いには、
「実際にそうなってしまってはいるが、学生の人数を半数に分けようとしたもので、サービスの内容や対応が変わるものではなく、フィルタリングしているという事実は全くない」
と話した。
『学歴フィルター』の著書がある、就職コンサルタントの福島直樹さんはこう説明する。
「かつては指定校制度のように『この大学群からのみ採用する』といった露骨なやり方がされていましたが、それが見えなくなったことで逆に『この企業もフィルタリングしているんじゃないか』という疑心暗鬼が就活生の間に広がっています」
福島さんによれば、大手金融などの企業でこうしたフィルタリングがされているという。大学群による分類を学生側に開示してしまう今回のようなミスを「危うく起こしそうになったことがある、という話は人事担当者から聞いたことがあります」(福島さん)という。