共産党にあいさつに訪れた立憲民主党の新執行部
共産党にあいさつに訪れた立憲民主党の新執行部

「私は自民党員ではないですし、衆院選の自民党のスタンスも非常に残念だと思っています。しかし『議員連盟』の幹事らは何とか党の中から変え、法改正を進めようと本気で頑張ってくれた。だから応援しました」(同)

 現行の民法は夫婦に同じ姓を名乗るよう強制している。約95%の夫婦は、妻が姓を変えている。井田さんはジェンダー平等の観点で、「女性に苦痛を押し付けている構図から、同じ権利を持って結婚に臨めるようにするには、選択的夫婦別姓にするしかない」と唱える。この主張は「リベラルっぽく」聞こえるが、内実はどうなのだろう。

「私たちの活動に参加する人の中にも、先祖から受け継いできた名字を絶やす罪悪感にさいなまれ、結婚後も名字を変えたくないという人が結構います。これは、『保守』の価値観といえるのではないでしょうか」(同)

「保守」の側からは、「戸籍制度が大事」との理由で、選択的夫婦別姓に反対する意見もある。だが、これも矛盾がある、と井田さんは言う。

「夫婦同姓を強いることで戸籍に載らない事実婚家族が増えていますし、自民党や日本維新の会が唱える『旧姓の通称使用の拡大』も戸籍制度の形骸化につながります。選択的夫婦別姓のもと、実態が伴った家族戸籍にしたいと考える私たちのほうが、戸籍制度を大事にしているといえると思います」

 にもかかわらず、井田さんはSNSなどで、保守の側から「反日活動家」といった言葉を浴びることも多い。

再稼働で賛否を呼ぶ関西電力の高浜原発
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「戸籍上の名前を変えずに幸せに結婚できる選択肢を一つ付け加えてほしいと言っているだけなのに、なぜ反日なのか分かりません。社会の価値観が変わるなか、現行制度の維持は非婚や少子化にもつながり、国力を衰退させる要因になっていることに、なぜ目を向けようとしないのか。本質から目をそらさせるためにイデオロギーを持ち出しているとしか思えません」(同)

 全国の約7割の米軍専用施設が集中する沖縄でも、辺野古新基地建設に反対する人を「左翼」とレッテル貼りする風潮がある。沖縄戦の遺骨混じりの土砂を辺野古埋め立てに使わないよう求めている遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんは「保守の人にこそ理解してもらえるはずだ」と訴えているが、その声は届いているだろうか。

 そもそも保守やリベラルとは、どういう概念なのか。政治学者の中島岳志・東京工業大学教授は「それぞれの概念をしっかり整理し直すことで、いま一度、保守とリベラルの枠組みを疑ってみる必要があります」と話す。

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