ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のチビ黒ちゃんです。
【写真】こんな姿見たことない! 枯れ葉をやさしく抱えて立ち上がる猫
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17年前、私が大阪に嫁ぐと同時に実家へやってきたのがチビ黒(写真、17歳、雌、通称チビ)だ。野良猫だった母親に連れられやってきた。
先住猫が亡くなったばかりで、年老いた両親はもう猫を飼わないと決めていた。しかし、一人娘が嫁いで寂しくなったのだろう。父が黒猫親子を家に入れてしまった。
ある日の朝起きると、母猫が亡くなっていた。
独りぼっちになったチビ黒は、父にしか懐かなかった。たまに私が里帰りすると、押し入れから一歩も出てこなくなる。そんなチビを父はなめるように可愛がった。
父は亡くなる前に「お父さんが死んだら、お母さんを頼むよ」とチビによく言って聞かせていた。
3年前に父が亡くなると、チビは言いつけを守るかのように、母に寄り添った。夜中にトイレに行くときは必ずついて行き、終わるまでドアの前に座って待っていた。階段を上り下りするときも一緒だった。
2年前、母は倒れて一人暮らしができなくなった。大阪で働いていた私は、母を施設に預けようか迷った。しかし、ふとチビ黒のことが脳裏をよぎった。
母は施設に預けても、チビをもらってくれる人はいない。私は猫のために仕事を辞め、実家で母の介護を始めた。
実家に帰ると、あんなに冷たかったチビはすぐにひざに乗ってきた。一人で母の面倒をみて、心細かったのかもしれない。
そんなチビ黒も人間で言うと85歳くらい。目も見えないのか、よく物にぶつかる。母と同じ認知症なのか、夜中にナーナー鳴きながら徘徊する。
長いことお母さんの面倒をみてくれてありがとう。これからは、私があんたの面倒みるからね。(山口県周南市/55歳/薬剤師)
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※週刊朝日 2021年12月31日号