亡くなった神田沙也加さん
亡くなった神田沙也加さん
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 女優・神田沙也加さん(享年35)が18日、宿泊していた札幌市内のホテルで急逝したショックがいまだ残る中、沙也加さんと真剣交際していたことを明かした俳優・前山剛久(30)に対するインスタグラムやツイッターなどでの非難、誹謗中傷の投稿が相次いだ。こうしたネット上での過剰反応は何故、沸き起こって来て、どう対処するべきなのか。また、記事の配信時点で、母の松田聖子がNHK紅白歌合戦」に出場する可能性が高まっているとの報道もある。出場した場合に懸念されることを、元上智大学文学部新聞学科教授でメディア文化評論家の碓井広義氏に聞いた。

【写真】亡くなった沙也加さんとの交際を明らかにした前山剛久

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 ツイッターを見てみると、前山さんに対し今後を応援する声も多い一方で、誹謗中傷も数多く混じり、渾然一体化している。

 沙也加さんの遺作となったミュージカル「マイ・フェア・レディ」で共演していた前山さん自身のインスタグラムには誹謗中傷のコメントが相次ぎ、コメント欄を閉鎖した。

 何故、こうした投稿が後を絶たないのか。その心理を碓井氏は、こうひも解く。

「ネットでは、誰かを叩くことが、娯楽もしくは遊びになっているんですね。だから、いつも標的となる人物を探している。そして、エンタメ化していく。誹謗中傷することが爽快なわけです」

 どこかで聞いたり、見たり、読んだりしたことをベースにし、叩いていく。

「前山さんを悪者に設定し、叩くことで、自分は正義の人、強い人のように思えるわけです。悪者をやっつけている自分に対する自己評価が爆上がりする。何でもできるという神のごとくの全能感と日常生活ではなかなか得られない快感を味わえるという心理があります」

■芸能人が標的になりやすいワケ

 悪者に設定するのは実は誰でもいいが、何もないのに選んでも叩く者同士で共有化できない。自分の”叩き”がネットで拡散しない。ゆえに、必然的に芸能人や有名人、事件の当事者に標的が向かいやすくなる。

「匿名での書き込みというシステムに乗っかって、安全地帯にいながら、溜飲を下げているつもりになる。一種のゲーム感覚かもしれません」

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「誹謗中傷」と「非難」