北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

 このようなバックラッシュは、女性の声が強くなる過程で避けて通れない事故のようなものなのか。こんなときは、嵐が過ぎるのをじっと待つしかないのだろうか。

 フェミニズムを憎み、女性運動を攻撃する人々。日本と韓国の国境を超えた女性嫌悪の運動を前に、私たちには何ができるだろう。デモの場所を奪われるというのは、声を封じられるということだ。目的は明快だ。だからこそ、やはり、「私たちは諦めない」と声をあげつづけてきた多くの「慰安婦」女性たちの声、既に亡くなられた多くの方の声を聞き続けるしかないのではないかと思う。

 女性たちの声が大きくなればなるほど、声をつぶす力も大きくなる。力比べのようにも見えるが、最終的に残るのは、声を聞き続けた者の粘り強さなのかもしれないとも思う。静かな力かもしれない。日本大使館前には、水曜デモの場の惨状を憂う人々も集まってきている。怒声に対して、「良心の鏡」と書かれた鏡を彼らに向ける沈黙のスタンディングも行われている。大きな声よりも沈黙がものを言うときもあるのだ。

 2022年、新しい年は、女性の声をつぶすための日韓の連帯ではなく、希望のある優しい連帯が生まれることを願ってやまない。

■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

右派団体に「良心の鏡」と書かれた鏡を向ける人々
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