通行人が耳を塞がなければ歩けないほど、大音量で音楽を流しヘイトスピーチを行っている。

「慰安婦」運動の象徴でもある水曜デモの場が攻撃されるようになったきっかけは、2020年、運動を率いてきた正義記憶連帯(旧挺対協)の前理事長、尹美香(ユン・ミヒャン)氏が国会議員になったことだ。「国会議員になるべきではなかった」「水曜集会にはもう出ない」という「慰安婦」被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんが記者会見を開いたことから、「慰安婦」運動への過激な攻撃が、韓国の保守メディアで容赦なく広まった。多くは寄付金が私的に使われていたという憶測による攻撃だったが、なかには、尹美香氏が仲間たちと日本のお菓子を食べていた写真が「スクープ」として取り上げられるほど、なりふり構わない批判もあった。長年、「慰安婦」の女性たちを献身的に世話してきた女性が、報道の苛烈さを受け自死もした。尹美香氏の裁判は進行中だが、罪が確定したかのような報道は今も続いている。そして、そういう保守メディアの勢いに乗じるように、水曜デモの場も右翼団体の攻撃の場になっていったのだ。その最たるものが、デモの場所を奪う、という攻撃だった。

 日本大使館前の公道使用の許可は、日本大使館のある鐘路区に2カ月前に申請しなければならない。親日派は去年から、「慰安婦」運動団体よりも先に申請するために、前の晩から泊まり込むようなことをしてきた。そのため、「慰安婦」運動側が本来の場所を奪われ、少し離れた所で水曜デモを行ったり、2日前の晩から区役所前に寝泊まりしたりすることもあった。そこまでしなければ、あの場所で声をあげることができなくなったのだ。

 ここ1年ほどはコロナ禍のため大規模なデモが禁止されたため、水曜デモは日本大使館前で記者会見を行うという形で続いてきた。ところが11月から韓国政府がウィズコロナへとコロナ対策を変えたことで、水曜デモの場が再び「主戦場」になった。今、毎週水曜日になると日本大使館前には、水曜デモに抗議する右翼団体がかけつけるようになった。右翼側は大音量の軍歌と怒声で場を支配しようとし、歩行者が耳を押さえなければ歩けないほどの騒音の場になっているという。

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