お笑いに音楽、芝居に文章と、マルチな才能を発揮し、広く認知されるようになって10年以上が経ったマキタスポーツさん。“安定からの脱出”を目指して出演した映画で、おじさんはなぜ安定が好きかを考察することに。
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やさぐれていたり、ひょうきんだったり、とぼけていたり。ドラマや映画で、出演場面の長さに関わらず、人間臭い印象を残す。名バイプレーヤーとして引っ張りだこのマキタスポーツさんは、芸能界では“芸人”としてキャリアをスタートさせている。俳優として注目されるようになったのは、10年前の映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞を受賞した頃からだ。
「そのときが42歳で、大勢の人の目に触れるようになった時点で、いきなり“おじさん”だったわけです。もしも、若い頃から俳優として活動していたら、大学生から社会人、お父さんまで、俳優としての棚に置かれる位置が、年齢とともに変わっていったと思います。でも、僕の場合は新発売の段階からおじさん棚に置かれて、そこから10年不動なんです(笑)。その間に、数は少ないけど主演の仕事もいただいて。いろいろな役を演じていく中で、コメディーリリーフ的な、ちょっと人のいいおじさんとか、本筋とさほど関係があるようでないような脇役を、安定してやらせていただくようになりました」
ところが、この“安定”というのが曲者だった。
「毎回毎回、制作側は、『この役はぜひマキタさんで』と言ってくださるし、僕自身も『出たい』と思う作品が多かったんですが、こと役柄に関しては、作品のテーマや監督、共演者は違っても、似たような役柄ばかりを求められてしまう。そのことも、前の仕事が評価されたという、一つの通信簿みたいなものだけれど、それなりに長くやらせていただくと、やっぱり何かルーティン化していくというか……。仕事が安定するということは、“飽き”にもつながってしまうな、と」
ちょうど、そんな思いが脳裏をかすめたタイミングで、映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」の出演オファーがきた。小さなオフィスで、社員全員がタイムループを繰り返していることに気づいた若手が、タイムループからの脱出を試みる。その鍵を握るのが、マキタさん演じる永久部長だ。